アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016(3)~東アジア編

前回に続き、アジアフォーカスの感想です。

※ネタばれあり。

※  ※  ※

( )内の★は個人的満足度。5点満点です。

『うつくしいひと 日本』(★★★★)
うつくしいひと_ポスター
2016年/日本/39分
監督:行定勲
キャスト:橋本愛、姜尚中、米村亮太朗、高良健吾、石田えり 他

熊本出身の行定勲監督が、故郷の地域創生を目的とした「くまもと映画プロジェクト」で手がけた中編作品。
橋本愛、高良健吾ら出演者も熊本県出身者で、熊本城や夏目漱石旧居、江津湖、菊池渓谷など、同県の名所旧跡で撮影を行っています。
「熊本地震復興支援 特別上映」として上映されました。

ストーリーは、初老の男性(姜尚中)が初恋の女性(石田えり)との思い出の地を巡るという、ありふれたもの。プロット自体に目新しさはなく、熊本以外の街を舞台にしても成り立つ話だと思います。だからこそ、熊本の街並みや風景、作り手の熊本への愛が際立ちます。特に、本筋とは関係ないキャラだけど、誰よりもいきいきと演じていた高良健吾さんの姿がとても印象的でした。
上映後には、来福された行定監督を招いてのQ&Aも行われ、このQ&Aでのお話がとても興味深かったです。最近流行の「ご当地映画」の役割について、一つの答えを見つけられた気がします。

「くまもと映画プロジェクト」の目的は、公式サイト

このプロジェクトは、熊本県出身の映画監督 行定 勲氏及び都市部で活躍中の熊本にゆかりのある俳優、著名人や、熊本県内市町村及び地域活性化に取り組む人々等が「地方創生版チーム熊本」として連携し、熊本の地域資源を活かし、熊本での生活などの素晴らしさを実感できる映画を製作するプロジェクトです。

というものです。
撮影は昨年の秋から始まり、年明けに完成したとのこと。その後、熊本で上映を行っていたようですが、4月に熊本で地震が起きてから、チャリティ上映の全国行脚が始まったようです。
地震によって姿が変わってしまった熊本城などが映っており、地震前と後で、この作品が持つ意味や役割も大きく変わりました。

Q&Aでは、全国行脚についても観客から質問がありました。「各地のお客さんの反応は?」というもの。
監督の回答は、各地で出会った熊本の出身者や熊本に縁のある人々、の反応でした。
九州だけでなく、北のほうなど熊本から遠く離れた地域に行っても、どこに行っても熊本に縁のある人々がいて、彼らが上映会に足を運んでくれ、さまざまな言葉をもらったと。
ご当地映画は、観光アピールだったり、「いま」その街で暮らす人々のためという意味合いが強いのかと思っていましたが、決してそれだけではなく、故郷を離れて生きる人々への、ある種のビデオレターでもあるのかなあと、監督のお話を聞いて強く思いました。

続編も制作予定で(秋ごろ撮影開始という話でしたが、いま撮影中なんでしょうか?)、今度は地震後の熊本が舞台となります。
続編もぜひ見てみたいです。

『大芝居』(★★★★)
大芝居_ポスター
英題:The Great Actor
2016年/韓国/108分
監督:ソク・ミヌ
キャスト:オ・ダルス(ソンピル)、ユン・ジェムン(ガンシク)、イ・ギョンヨン(パク監督) 他

韓国の名脇役オ・ダルス主演。20年間ほそぼそと舞台俳優を続けるさえない主人公が、映画界に挑戦しようと奮闘する姿を描くコメディ。
いつまで経っても芽の出ない、しがない舞台俳優のソンピル。可愛い子どもも大きくなり、父親としてかっこいい姿を見せたいと、映画のオーディションを受けることに。かつて同じ劇団に所属し、現在は大スターとなった先輩ガンシクに無理やり頼み込んで、無事に役を得ることはできたが…。

正直、主人公の言動は独りよがりな点も少なくなく、イライラしながら見てました(笑)。でも、役を得てからの展開とオチは良く、最後は清々しく終わったかな。
主人公に安易に夢を見せるのではなく、きちんと現実と向き合わせていたのは好感が持てました。その上で、最後は新しい夢を用意し、きちんとハッピーエンドで終わるという、安心・安定の韓国エンタメ。
子役の使い方も、「これぞ韓国映画!」でしたね。

『あの時に思いを』(★★★)
あの時に思いを_ポスター
英題:The Moment
2016年/香港/88分
監督:ウォン・クォッファイ(黄國輝)
キャスト:ラム・カートン(ファイ)、ブン・チャンリョン(レイ)、ダダ・チャン(ウィン)、ケルビン・クァン(ヒン)、エリック・スン(ロク)、グレース・イップ(モン) 他

中国に返還され約20年。変わり続ける香港の街で、変わらぬ姿を残す古い写真館を舞台に、友人や親子、恋人たち4組8人の人生を描く群像劇。

英題は「The Moment」。4組のそれぞれのMomentとその時の思いが刻まれた「写真」が、物語を動かします。
4つの物語が同時に進行し、一つに繋がるという群像劇ですが、その中でも舞台となった古い写真館の主人である中年男性の物語が好きでした。
いつまでも自分の写真を認めてくれない父親への複雑な感情。「写真」は、彼の人生にとって重荷であり、積もり積もった鬱憤を旧友にぶつける姿には、胸が痛みました。そんな、人生も行き詰まりかけたさえない中年男を、ラム・カートンが好演しています。

私も30代半ばになり、人生も折り返しの段階に入った人々の物語は、素直に楽しめなくなってきましたね。。(自分自身の人生に対する不安が生じてしまい…)

『なりゆきな、魂』(★★)
なりゆきな魂_ポスター
英題:Random Lives
2016年/日本/106分
監督:瀬々敬久
キャスト:佐野史郎(忠男)、柄本明(オトウちゃん)、足立正生(センちゃん)、山田真歩(有希)、三浦誠己(サブ) 他

孤高の漫画家・つげ忠男氏の短編とオリジナルストーリーを紡ぎ、人間の生きる意味を問う作品。
瀬々監督の作品は『64-ロクヨン-』しか見たことなかったので、このような抽象的な作品を作られる方なんだとびっくり。『64-ロクヨン-』は正統派というか、しっかりと練られたストーリーを、俳優陣の安定した演技で魅せる、わかりやすい作品だったので…。

複数の物語が最後は一つになる、という群像劇ではなく、独立した物語を並べ、一つの問いを投げかける、という感じでしょうか。
その複数の物語の中で、特に気に入っているのは、夜行バスの交通事故による被害者たちの人間模様を描いたオリジナルの話です。「あの時バスに乗っていたのが別の人だったら…」など、ifを繰り返すことで、人間関係や人物像を浮かび上がらせていく手法で、面白かったです。
ただ、別の物語に不満な点があって。好きにはなれない作品となってしまいました。

『凱里ブルース』(?)
凱里ブルース_ポスター
英題:Kaili Blues
2015年/中国/113分
監督:ビー・ガン
キャスト:チェン・ヨンチョン、シエ・リーシェン、ユィ・シィシュエ、クオ・ユエ 他

中国南西部、エキゾチックで亜熱帯の貴州省にある霧深く湿気の多い街・凱里(かいり)を舞台にした作品。

すみません、寝ました^^;

※  ※  ※

というわけで、アジアフォーカスの感想もあと1回で終わりです。
うーん、もうちょっとしっかり書けたらいいのですが、簡単すぎてすみません。。

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