満員電車

一日の中で必ず憂鬱になる時間があります。
夕方の6時半頃。ローカルニュースの時間。

福岡で何かの事件のニュースが取り上げられない日は“ほぼ”ありません。
都会に来たことを実感するのは、高層ビルが立ち並ぶ街並みよりも、こういうことだったりする。
小さな田舎町の小さなお祭りがトップニュースになることなんてなくて。鹿児島にいるときはそれが笑い話だったけど、今こうして福岡に住んでみると、あれは幸せだったんだと思います。少なくとも、心は穏やかだった。今よりずっと。

今も、ある事件が連日新聞やTVで取り上げられています。
書くのも嫌なのでリンクだけ貼っておく(読売新聞の記事)けど、なんて言えばいいんだろう、自分には直接関係のないことでも「知りたくなかった」と思うことが本当にたくさんあります。
むしろ自分に関係あることで「知りたくなかった」と思うことは少ないかもしれない。自分の身の回りの出来事なんて本当に些細なことなんだと、いろんな事件等の報道を見て実感します。私はすごく幸せなんだと(今のところは……)。
私は福岡に来て、怯える日が増えてしまいました。

都会と言えば、私は大阪にも四年半住んでいました。
大阪のほうがずっと事件は多いけど、あの頃は今ほど怯えていることはありませんでした。住んでいた場所が郊外で、自分のすぐ近くで犯罪が起きるかもしれないと感じたことがほとんどなかったからでしょう。しかも田んぼや山といった自然に囲まれていて、気分を紛らす環境にとても恵まれていました。
福岡に来て、私が毎日事件報道にびくびくしてしまうのは、私が福岡でも中心地に近いところに住んでいるのが一番の理由だと思います。毎夜とは言わないけど、週に何回かは夜に誰かが叫び声をあげていて、それを聞きながら眠りにつかなければなりません。

眠れなくて夜中の三時まで起きていたら、私が住むマンションの前の通りを、女性が「キャー」と叫びながら走り去っていったことがありました。誰かに追いかけられているみたいでした。
遠ざかっていく叫び声を、私は布団の中でただ震えながら聞いていました。
夜が明けてこの付近で事件があったと報道されたらどうしようと、そんなことを考えたりして、結局その晩は眠れませんでした。
その後、その女性が関係してそうな事件の報道はありません。
彼女がなぜ逃げていたのか、誰から逃げていたのかはわからない。でも、ただ事ではなかったのは確かです。あの時、追いかけていたほう(男だと思う)の荒い息遣いも聞こえた気がしました。
あの後、彼女は無事に家に帰れたのだろうかと、今でもふと思うことがあります。報道はされなかっただけで、彼女は辛い目にあっていたかもしれない。
仮にそうだとして、私に何かできたことはあったんじゃないか、そんなことを思うんです。そして、あったとしても私にはそれを実行するだけの勇気はないだろう、そう思うんです。

あの日以来、夜に男女の話し声が聞こえるだけでびくつくようになってしまいました。
たぶん私は、自分が何か恐い目に遭うよりも、誰かが被害者になる瞬間を聞いてしまう・見てしまうことに怯えています。
目撃者になるのが嫌なのか。間接的な関わりが嫌なのかもしれない。単純に、傷付く人を見たくない、というのもある。
……こういうの、なんて言うんだろう。他意識過剰? 
わからないけど、私は何か意識しすぎているところがあるのは確かなようです。
そして、それは私の醜い(?)部分だと思う。
叫びながら逃げていく女性の声に怯えたのは、たぶん「関わりたくない」という気持ちがあったから。そういうことなんだと思う。傷付く人を見たくない、というのも、結局そういう人と「関わりたくない」ということだから。

この街で怯えてしまう理由を突き詰めていくと、私の「他者との関わりを避けたがる」性格に行き着きます。
私が住む福岡市中央区は、人口密度が11,560人/平方km(Wikipediaより)だそうです。
半径1km以内に何千という人々の魂が渦巻いているのです。私が息苦しくなってしまうのは当然かもしれません。空の狭い街並みのせいだけではないんだ。

都会の空気がこんなにも重いのは、何も排気ガスだけが理由ではないんですね。
私にとって、この街は満員電車。
慣れる日は、来るのかな。

……すみません、またいつもの抑鬱期に入ったみたいです。
楽しいことを書こうと思っていたのに、なぜかこんな風になってしまった。。

6 comments to “満員電車”
  1. 確かに街中ですものね。物騒なことも多いと思います。昔?と違って皆さん夜遅くまで出歩いていますから犯罪に巻き込まれるリスクも大きくなってしまいます。かと言って田舎は田舎で物騒だし、日本人の生活様式が変わったということでしょうか。夜中にお腹が空いても即席麺しかなければそれを食べるしかなかったものですが、ちょっと歩けばコンビニがありますからね。生活が便利になり生活様式が多様化すると犯罪の種類も増えて行きます。最終的には、自分で身を守るということでしょうか。危なそうなところへは近寄らないこと。被害者になったり、いや、犯罪には関わりたくありませんからね。

  2. >miyupapaさん
    田舎も物騒なのでしょうか。。
    今まで物騒なことに出会った経験はほとんどないので(変なおじさんに声掛けられて追いかけられたくらいです)、ちょっとしたことでとても動揺しています。それだけ私は恵まれた環境にいたのでしょうね。
    仰るように、自分の身は自分で守るつもりです。危ないところへは近寄らない、ということは私にはできます。
    ただ、問題は弟達なんです。彼らの生活を私が管理することはできません。でも彼らは私が危ないと思う場所に出入りするんです。
    その不安もあるんです。心配過剰かもしれませんけど。。
    自分以外のことで不安にならなければならないのが憂鬱です。
    家族の心配はどの街に行っても変わるものではないですけど、縁を切らない限りは。私は家庭を持つのに向いていない、とつくづく思います。
    早く引っ越ししてこの環境から抜け出したいのですが、なかなか資金が貯まりません。
    もっと自由に気軽に住居を変えられる世の中にならないかなあ、なんて思っています。思うだけでは何も変わりませんけど……。
    申し訳ありません、なんだか愚痴ばかりで。。

  3. 正直、「関わりたくない」という気持ちはみんなにあるのではないでしょうか…。個人的には20代ぐらいの年齢のときは「オレの目の前での狼藉は許さんぞ」ぐらいの正義感もあったし、それは私に限らず世の中にあったのですが、いつの間にか複雑な事情が起きてしまったように思います。犯罪も凶悪化しており生半可な覚悟では注意できるものでもありませんし、警察の対応も不満ですし。日常的な部分でもイタズラをする小学生を注意するにも様々な配慮をしなければならず、ウカツに関われないのも現実だと思うんです。
    依然にお話したかも知れませんが、中島みゆきさんの「ファイト!」の2番を思い出します。階段から子供を突き落とす女を目撃してしまうという歌詞がありましたよね。どちからというと他意識過剰ではなく、自分に対しての自負心や責任力に脅える心理なのではないでしょうか。
    とはいえ、ホントに対応が難しい話ですね。
    都市部に於ける少年事件などは内容として狂暴化している気がします。正直、特定の地名がありますよね…。
    埼玉も繁華街や県南はコワいです。ですが私の住んでいるあたりは繁華街ではなく堂々たる郊外なので犯罪は近5年は減ったように体感しています。盛り場とそうではないところでは差異があるんでしょうか。

  4. 家族の心配をするのはわが家も同じです。うちの母は相変わらず私や妹の心配をしてくれます。外に出るといろんな誘惑もありますしね。私などは自分の経験プラス人の体験談を参考にしています。会社の管理部門に長くいたこと、他の会社の方たちとのお付き合いで得る情報などは非常に役に立ちます。現在の生活では娘は一人で外出することはありませんがこれから先、高校生になるとどうなることやら。ただ、人込みが苦手、魚屋さんや八百屋さんのおっさんのダミ声が大の苦手です。そんな娘にも一人でお出かけする日が来るのでしょうね。

  5. >メロンぱんちさん
    >『ファイト!』の歌詞
    そうかもしれません。「私の敵は私です」の言葉通りかも。
    何かに遭遇しても何もできないことがわかっているから、何もできなくて後悔するのが嫌だから、遭遇すること自体を避けたいという思いが強くなってしまうのですね。
    『ファイト!』の歌詞は改めて読んでみると、いろんなタイプの弱い人達に対する応援歌なんだと気付かされますね。シニカルにも感じるけど、優しいですね。
    少し話が逸れますが、リンクを貼った事件、逮捕された少年達は過去にいじめられていた経験があったり、現在不登校だったりしていたようです。その辛い気持ちを、同じような経験のある人達への共感として向けてほしかったけど、そうはならずに(そう思えるようになれる前に)新たな被害者を生み出す方へ向けてしまったようです。
    負の連鎖というのでしょうか、悲しいです。

  6. >miyupapaさん
    そうなんです、書きながら、お子さんがいらっしゃる方は毎日が心配と不安で大変そうだと思ったんです。
    きっと危険な目に遭う可能性の方が少ないのでしょうけど、それでも余計な心配をしてしまいます。
    我が家の場合は親でさえ闇金に手を出したりするから、弟たちが同じ過ちを犯さないか、そういった不安もあって。母はもう大丈夫のようですけど、離れたらまた何か起きそうで、母を一人にすることもできません。
    娘さんはまだ一人でのお出かけはないのですね。
    いつか必ず一人で旅立つ時がきますけど、miyupapaさんのように頼りのあるお父さんがついているから、きっと大丈夫でしょう!
    身の回りに溢れる危険は本当に多くて(例えば携帯電話の使い方にしても)、子供の頃からきちんと教えていないといけないのかなって思います。うちはそれが足りなくて、今も足りないのかもしれません。

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