バンクーバー五輪 フィギュアスケート・男子シングル(日本選手編)

昨日までの三日間、気を張りつめていたので、なんかもう魂が抜けたようになっています。
……それはさておき、この種目、初の日本人メダリスト誕生です。おめでとう、高橋大輔!!

長野五輪でちらっとフィギュアを見て、その魅力に取り憑かれてから早12年。なんだかんだでフィギュアをダラダラと見続けてきました。
何度もフィギュア観戦から脱落した時期があったので(だからあまり自信を持って「フィギュアファンです」とは言えないんですけど)、こうやって男子で初のメダリストが生まれる瞬間をいろんな思いを持って迎えられたことが嬉しいです。何かのファンになることの喜びというのは、こういうところにあるんだろうな。

さて、SPは一昨日17日。18日は中休みだったのでその日にSPの感想を書けばよかったのですが、目の前にメダルがぶらさがっている状態で興奮していて、落ち着いて書ける状態ではありませんでした。今から書こうにもその時の思いや演技の内容等ほとんど覚えていないので(本当は書きたいけど気力もない、笑)、今日はSP・FSまとめての感想をざっと書きます。

まずは日本人初のメダリスト・高橋大輔!
メダリストを「大ちゃん」と呼ぶのもあれですが、彼の魅力にはまってからずっとそう呼んできたので、敬意を表しつつもやはり親しみを込めて「大ちゃん」と呼びます。
というわけで、

大ちゃん、銅メダルおめでとう!! そしてありがとう!!!

大ちゃんにこそ「日本人初のメダリスト」になってほしいと思っていたし、その実力はいま日本で誰よりもあると思っていたから、本当に嬉しいです。

SPはアコーディオン奏者cobaさんの『Eye』に乗せて、宮本賢二さんの振り付けという純日本製のプログラム。
点数の取りこぼしがないように丁寧に滑っていました。彼の情熱的な滑りが見たかったので少し物足りなさも感じていたのですが、メダルをとるためにはそれも必要なことで、きっちりと3位につけました。
4位と若干開きがあったので、実質的に金メダル争いは上位三人に絞られた状態(ペアと同じような状態に)。メダルどころか金メダルも手に届く勢い。
まあ、大ちゃんの目標は金メダルだから当然といったら当然なんですが、もう私の目の前にも金メダルがぶらさがっているような気持ちになって、SPが終わってからというもの落ち着きませんでした。

FSの昨日も、朝からそわそわ。テレビの前でティッシュ箱をそばに用意し、待機。
最終グループはSP2位のエヴァン・ライサチェック(米国)からでした。
彼のノーミスの演技に感動しつつも、内心焦りました。見事に高得点を叩きだし、金メダルが遠のいた、なんて縁起のないことを考えてしまいます。
そして第2滑走者は日本の織田くん。
SP同様に緊張した表情で少し不安になりました。相変わらず着氷の美しいジャンプは健在でしたが、終盤になってまさかのアクシデント。
無事滑り終えたものの、何か胸騒ぎがして、緊張感はさらにアップ。
さらに第3滑走のステファン・ランビエール(スイス)は、彼らしくない精彩を欠いた(情熱の見られない)演技。
まさか、変な空気が流れているのでは……。
ランビエールの点数もろくに見ず、気が付けば大ちゃんがリンクに立っていたのでした。

FSは映画『道』の音楽にのせて。
始まりのポーズでは指が震えていました。緊張しているのかな、と不安増。最初の四回転の転倒は予想はしていたものの、あれだけ大きく転けるのを見てやはり動揺してしまいました。
しかし、転けた後に本人は吹っ切れたように笑っていました。最後の最後まで「どうか無事で」という思いは持ち続けたものの、あの笑顔を見て「大丈夫かもしれない」という気持ちも。
その後はもう言わずもがな。
途中のジャンプで着氷につまずきがあったりと本人も言うように完璧ではない演技でしたが、SPでは見られなかった思いのこもった演技で、最後のストレートラインステップはもう涙なしには見られませんでした(映画を見ていたらまた別の感動があったんだろうなあ)。まさに「万感の思い」という言葉がぴったり。
ステップの最後に両手を何度も掲げ、感情を爆発させる振り付けがありましたが、演技と彼自身の思いとが一体になったように感じました。
最後のスピンでバランスを崩して、一瞬ドキッとさせるあたりはご愛敬。でも、バランスを保てないほど力と思いを出し尽くしたという、そんな姿にも見えました。
SPと同じく、演技終了後には大きなガッツポーズ。男らしいというよりもどこか可愛らしさを感じてしまうガッツポーズでしたが(これが彼のキャラクターなんだろうなあ)、体全体から喜びがほとばしっていて、メダルよりもそんな彼の姿が見られたことに感動しました。
会場も彼の演技に大きな拍手。本当に素晴らしく、そして美しい演技でした。

大歓声の中、そしてキスクラへ。
SPとの差があったので、金メダルは無理でもメダル圏内には残るだろうと思ってはいましたが、思ったほど点は伸びません。この時点で暫定2位であれば、ほぼメダルは確実だと思いながらも、3位のランビエールとの差が本当に僅かで、ホッとしつつも不安が。。
そして次の滑走者。アメリカのジョニー・ウィアーは好きな選手の一人なので応援していましたが、技が決まるたびに、心から応援できなくなる自分がいました。
彼も素晴らしい演技を披露してくれたのですが、それよりもやはり大ちゃんの……というか日本男子初のメダルの行方が気になってしまって(ごめんよ、ジョニー)。
しかし、彼も点があまり伸びずに、この時点で大ちゃんのメダルは確定。後は最終滑走者のプルシェンコを待つのみとなりました。
プルシェンコはもう確実に大ちゃんの上にくるだろうと思っていたし、何よりメダルが確定したのでジョニーよりは気楽に見られました。

最終順位は、1位ライサチェック、2位にプルシェンコ、3位大ちゃんという結果に。
銅メダル決定後のインタビューでは「普段は泣かないんだけど」と言いながら目に涙を浮かべる姿に私もホロリ。。
しかし、一番思いがこみ上げてきたのは表彰式でした。
アメリカ国歌が流れる中、そのアメリカ国旗の横に並んで揚がる日の丸を見て涙ぐむ大ちゃん。
解説の本田くんはもう涙声で実況の西岡アナに応えていました。彼が8年前のソルトレークで果たせなかった夢がいま目の前で叶ったことに、私もこみ上げるものがあって一緒に泣きました。
本田くんが日本男子フィギュアの未来を思い、今大会後輩がメダルを獲得することを望んでいたこと、そのためにジャンプコーチとして大ちゃんのサポートにまわったこと(競い合った時期もあったのに)も少しだけれど知っていたので、余計に胸にくるものがあって。
銀メダルを獲得したプルシェンコは現役時代にライバルだった選手。そんな彼がボロボロの体で戻ってきたことにもいろんな思いがあっただろうし(私でさえ思うのだから)、もう本当に何と言えばいいのか、言葉になりません。。
本田くんを知って男子シングルを見始めた私にとって、表彰式も今大会の大きなハイライトとなりました。

そして今大会は、日本選手は全員入賞(うちメダル一人)というもの凄い快挙を成し遂げたのでした。

まず7位入賞となったのは織田信成。
SPから緊張で表情の硬かった織田くん。SPはミスなくこなして4位発進でしたが、演技後はインタビューで涙も見えて、本当に緊張していたんだなというのがわかりました。FSの『チャップリンメドレー』は名プログラムなので最高の笑顔で滑ってほしいなと思っていたのですが、どうやら緊張は解けなかったようでした。
織田くんの前に滑ったライサチェックが良い演技を見せ、半分地元といってもいいカナダの観客(まあアメリカ人もたくさんいたでしょうけど)は大盛り上がり。その歓声に足がすくんでしまったとのことでした。
さらに演技終盤には、スケート靴の紐が切れてしまうというアクシデント。
もう本当に、この素敵なプログラムが五輪という大舞台で完全な形で披露されなかったことが残念でなりません。本人ももちろん悔しいと口にしていますが、私も悔しい!(泣)
アクシデントの後、最後まで滑り切った織田くんには拍手を送りたいです。でも、彼のベストはこんなものではないし、できることならもう一度五輪のリンクに立つ姿を見たい!!

というわけで、現在22歳の織田くんは年齢的にはギリギリかもしれないけれど、ソチまで頑張って欲しいです。もしくは世界選手権で表彰台に立って欲しい。。

そし8位に小塚崇彦。
今大会メダル争い以外で一番目を引いたのは小塚くんでした。初出場の五輪を楽しみ、この三日間で大きく成長したように思います。
SPはジミ・ヘンドリックス『Bold As Love』。ややジャンプにミスがあったものの観客を味方につけ、最後の高速スピンでは大歓声を受けていました。フィニッシュポーズを決める最後の「ジャン!」という音が歓声にかき消されるくらいでした。本人はそれを音響のミスで切れたんだと思ったらしく、終了後に「おと、おと!」と天井を指さしていましたが(SPのハイライト・お笑い部門1位)、あんな大舞台で大歓声に包まれる中、物怖じせずに凄いなあと思いました。
FSもこの気持ちでいけるといいなあ、なんてこちらの心配も余所に、昨日も素晴らしい演技を披露してくれました。

FSの曲は布袋寅泰さんの『ギター・コンチェルト』(小塚くんは布袋さんと実際に会っていて、キスクラで使用していたタオルは布袋さんからもらったもののようです)。
FSも今季一番の出来でした。
何より凄かったのが、これまで試合では一度も降りたことのなかった四回転ジャンプで(両足着氷とはいえ)降りたこと。バンクーバー入りしてから成功確率が上がっていると聞いてはいましたが、まさかこの大舞台で(完璧ではないけど)成功させるなんて思ってもいませんでした。挑戦するだけでも意義のあることだと思っていたのに!!
最初の四回転後も、後半のトリプルアクセルでは転倒してしまいましたが、それ以外にこれといって目立つミスはなく、FSでも大きな歓声をもらっていました。特に小塚くんのプログラムは最後に一番盛り上がる高速スピンをもってきているので、本当に盛り上がります。
高速スピンはレベルが高くないので最近はあまり見られなくなっているのですが、見てる側も高速スピンというのは気持ちが高ぶりますし、こうやって両方とも締めを盛り上げてくれるのは見ていて気持ちが良く、嬉しくなります。まあ、個人的に大好きなスピンというのもありますけど(笑)。

本当に、五輪という舞台で大歓声をもらったこと(観客を喜ばせたこと)は小塚くんにとって大きな大きな経験になったと思います。しかも強心臓の持ち主だったとは!
ソチ五輪に向けて、さらなる飛躍を期待したいです。

日本男子念願のメダル獲得とこれから男子フィギュアを引っ張っていくであろう若手選手の活躍と、二重の喜びを味わったバンクーバー五輪でした。
四回転論争など、試合が終わった後もいろいろと問題は残っているのですが、日本男子フィギュアにとっては大きな一歩となる大会だったように思います。
三人とも入賞なんて、本当にすごい!!

月並みな言葉ですが、三選手とも本当にお疲れさまでした。おめでとう、そしてありがとう!
これからも切磋琢磨してお互いを高めていって欲しいです。

海外選手についてはまた後日書きたいと思います。

4 comments to “バンクーバー五輪 フィギュアスケート・男子シングル(日本選手編)”
  1. フィギュアのような競技、それも男子がメダルを獲る、争うなんて事は、以前は、ちょっと考えられない事でしたから、大きな一歩、記録的な意味ではなくて大きな歴史的な局面だったと思いました。日本の男子選手が、あのような場所で万雷の拍手で演技をするのって、イメージも湧きにくいと思っていましただけに。
    日本勢は選手層の厚さも感じさせ、ひょっとしたら今後はフィギュア強豪国として定着していくんじゃないだろうかとまで思いました。

  2. >メロンぱんちさん
    本田くんのソルトレイク五輪4位が見事にマスコミにスルーされているのが私としてはとても悔しいのですが(泣)、彼が築いてきたものが後輩選手に引き継がれ、今回初のメダル、全員入賞という結果に繋がって本当に嬉しかったです。
    何かと表現することが不得意と言われることの多い日本人が表現力で観客を魅了したというのも嬉しいですね。大ちゃんに魅せられた時はこんなに才能溢れる選手がいたということ、それ自体が嬉しかったのを思い出します(本田くんも素晴らしい選手でしたが、また違う魅力が大ちゃんにはあります)。
    彼はメダルをとれる選手だと思っていましたけど、今大会は想像以上の素晴らしい演技でびっくりしたくらいでした。メダルも見事獲得できて、喜びとともにホッとしてます。メダル候補に挙げられながら獲得ならなかった選手というのは何人もいますしね。。
    3位と4位、一つの順位の違いですがメダルの有無というのは大きな違いがあって、今回その壁を破れたということは本当に歴史的な一歩だと思います。ただただ感涙でした。
    それにしても、男子って女子に比べて認知度低いんですね(涙)。まあ、女子みたいにマスコミに荒らされるよりはいいのかな、なんて思いますけど。。

  3. 本田さんのときも「メダルに手が届くか」というスポーツ紙などの報道はあったのですが、やはり扱いは小さかったですよね。佐野稔さん依頼の注目度だったとはいうものの、確かに認知度が低いのかも知れませんね。そのあたりを評価してあげられるのは熱心なファン層になってしまうのかも。
    メダル、メダルというのガツガツしていますが、やはり国民の大勢は、メダリストか否かって重要みたいですよね。そのあたりのプッシュがないと、人気が低迷してしまうものかも知れませんよね。そのへんが気掛り。
    サッカー日本代表の試合も、最近は満席にならないって話ですし、あまり一過性の盛り上がりにならずに、根付く感じになるといいですね。

  4. >メロンぱんちさん
    今フィギュアが注目を集めていられるのは、もちろん各選手の頑張りとスケート連盟の選手強化等で世界で戦える選手が増えたという背景があると思うのですが、何より浅田真央や安藤美姫といったスターに支えられてきた面が大きいのではないかと思います。どんなスポーツでもそうですけど、強烈なスターがいないとなかなか国民の目を惹き付け続けることはできないのかなあと。
    サッカーは昔からあまり見ませんけど、ほとんど見たことなくても知っていたカズやゴン中山みたいなスターが今はいないのかなあと思ったり。サッカーファンから怒られそうですが。。そういえば代表の成績も思わしくないようですね。
    良い成績を出してもなかなか日の当たらない競技や選手もいたりしますし、見る側もきまぐれだよなあとは思います。
    もともとこの競技自体が好きなので、日本選手の活躍の有無に関わらず、これからも見続けていくことになるとは思います。
    今の過熱ぶりを見ていると、かつてひっそりと見ていた頃を思い出して懐かしくなったりするんですよね。下手に人気が出ると、周囲の心なき言葉を耳にする機会も増えるから、少し憂鬱になったり。。
    見るだけの人間はいつだってわがままですね(^^;

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