バンクーバー五輪 フィギュアスケート・女子シングルFS

バンクーバー五輪も今日、閉会式を迎えました。閉会式で旗手を務めたのはフィギュアスケートで銀メダルを獲得した浅田真央でした。

日本時間26日に行われた女子シングル・フリープログラム(FS)。
SPは、女子シングル史上初めてSPでトリプルアクセルを跳んだ浅田真央の歴史的快挙と、試合前に母を亡くすという悲劇に見舞われたジョアニー・ロシェットの涙の演技にただただ感動でした。
SPで首位に立ったのは前評判通り、韓国のキム・ヨナでした。2位に真央、3位にロシェット。日本選手は安藤美姫が続く4位、鈴木明子は11位からの発進となりました。
SPから一日空けて迎えたFS。
実力がありながら調子を取り戻せずに崩れてしまった選手もいれば、初出場ながら力を存分に発揮して清々しさを残していった若手もいました。たとえ全盛期の演技には及ばずとも、集大成の演技を披露し、最後は笑顔で締めくくったベテラン選手の姿もありました。
下位の選手たちにも、さまざまなドラマがありました。そういった彼女たちの姿にも感動しました。

第3グループからは実力者が続々登場。その第一滑走はロシアのアリョーナ・レオノワでした。
SP8位だったレオノワ。私の大好きな映画『シカゴ』のリズミカルな音楽にのっての演技でした。
調子の良い時は本当に可愛い笑顔で滑るレオノワですが(その笑顔に惚れてしまった)、FSは笑顔が見られず、勢いもなく、このまま彼女の笑顔が見られず終わってしまうのかと思いながら見ていました。
しかし演技終了後、彼女は大きなガッツポーズ。緊張から解放された、大きなミスなく何とか滑り終えた、そんなガッツポーズでした。
正直演技そのものはイマイチで、彼女の本来の魅力が十分に発揮されてはいませんでしたが、この大舞台を乗り越えたという喜びを彼女の笑顔に見ることができ、ホッとしました。
彼女の滑りはまだまだ荒さが目立ちます。今大会も最終順位は9位と入賞にも届きませんでした。
次のソチにはロシアのエースとなっているのか……はたしてどうなるかわかりませんが、これからの成長が楽しみです。

二番滑走は日本の鈴木明子。
SPでは最初のコンビネーションジャンプでミスが見られるなど、完璧な演技ではありませんでした。11位発進。
FSは今季ファンの間でも好評な『ウエスト・サイド・ストーリー』。ニューヨークが舞台のミュージカル音楽にのって、観客の心をわしづかみにした素晴らしい演技でした。
私はもう後半の3つ目のコンビネーションジャンプが決まった時に涙がこぼれてきて、その後は最後まで涙を堪えながら見ていました。演技終了後、あっこちゃんの感極まった表情がアップで映り、涙腺崩壊。この日一番泣いた演技でした。
FSの順位は7位で、最終順位8位と見事入賞を果たしました。おめでとう!!

続いて登場はイタリアのカロリーナ・コストナー。
今季不調が続いていたのですが、1月に行われた欧州選手権で優勝し、五輪代表を獲得。
SPは大きなミスなく7位につけ、FSではさらに良い演技をと期待していたのですが、言葉を失ってしまうほどの絶不調。転倒が続き、FSの順位はなんと24人中19番目。最終順位は16位と、前回トリノ五輪の9位をさらに下回る残念な結果となってしまいました。。
バッハの『G線上のアリア』とヴィヴァルディの『チェロ協奏曲』のプログラムはとても素敵だっただけに(衣装も)、彼女の最高の演技が見られなかったのは残念です。

次は同じ欧州勢のラウラ・レピスト(フィンランド)。
どこか日本人には親しみやすさを感じるお顔のレピスト(中学の同級生に似てる!)ですが、今まで彼女の演技にはどこか物足りなさを感じていました。
しかし、この日の彼女の演技には魅了されました。
曲はピアソラの『アディオス・ノニーノ(Adios Nonino)』と『フーガと神秘(Fuga y Misterio)』。
リンクに映える赤の衣装を身にまとい、キレッキレのタンゴを披露してくれました。彼女の凛とした佇まいにピッタリのプログラムでした。
FSの順位は4位で、SP10位から大きくアップして最終順位は6位でした。

このグループはあっこちゃん以外は欧州勢が占めていました。
次に登場したのはロシアのクセニヤ・マカロワ。
17歳でまだジュニアの大会にも出ているそうですが、162センチの身長と女性らしい体格や雰囲気からは、とてもジュニアの選手には見えません。今季のロシア選手権でレオノワを破って優勝したそうです。
可愛いというより「美しい」が似合う美人さんで、レオノワとは対照的な選手。
FSの曲は映画『13ウォリアーズ』。なんとも言えないプログラムでしたが、冒頭に3回転-3回転の連続ジャンプを決めるなど、演技自体はそれなりに良い出来だったかな……?
ロシアは今エース争いも混沌としているようです。これからソチまでの四年間、一体誰がロシアのエースとなって地元五輪を迎えるのか。ジュニアにも良い選手が何人もいるようで、どんな選手が上がってくるのか楽しみです。
マカロワの成長にも期待したいです。

第3グループ最後はグルジアのエレーネ・ゲデヴァニシヴィリ。
前回トリノ五輪では16歳初出場ながら最終グループに入り、華々しい五輪デビューを飾りました。あれから四年、当時もあれでしたが、女性らしい体つきはますます色気を増しています(汗)。あの胸の大きさはフィギュアをやるには本当に大変そう。。
昨季は『キャバレー』を使用していたし、今季はSPに『フィーバー(Fever)』、FSにビゼーの『カルメン』。「狙いすぎだろう!」と思ってましたが、やっぱり狙いすぎだー!(笑) でも似合ってるぅ!
SPは9位と入賞圏内につけていたのですが、FSはジャンプでミスが続き17位。最終順位は14位でした。
母国グルジアとロシアの関係悪化の影響を受け、練習拠点のモスクワから出なければならなかったなど、練習に打ち込む環境を作れずにいた時期もあったようです。まだ20歳で年齢的にはソチもいけますが、どうなるんでしょうか。

第3グループが終わった時点で、1位はレピスト、2位にあっこちゃん。あっこちゃんは入賞確定! ミキティと真央もあっこちゃんが作った流れに乗れますように、と祈って最終グループを迎えました。

第3グループも実力者が揃っていましたが、さらに上位者の揃った最終グループは6分間練習から緊張感で覆われていました。

第一滑走はアメリカのレイチェル・フラット。
ややふくよかな体型で、ジャンプが安定しているのが強み。今季は全米選手権で優勝し、アメリカのエース(?)としてバンクーバー五輪へやってきました。若手らしいはつらつさも魅力です。まだ17歳。
SPは『シング・シング・シング』で素晴らしい演技を披露し、5位発進。点数的にはメダル圏内でした。
FSは『パガニーニの主題による狂詩曲』。最終グループの第一滑走というプレッシャーもなんのその、スピードのなさがやや気になったものの、見た目ノーミスの素晴らしい演技でした。
点数が思ったより伸びず、FSは結局8位で最終順位は7位と落としてしまいました。しかし彼女の演技は、最終グループの闘いの幕開けとしては最高だったように思います。これからとんでもないものが起こるという予感がし、とにかく興奮しました。

北米選手の活躍に観客が盛り上がる中に登場したのは日本の安藤美姫。
今季のFS『クレオパトラ』は毎試合のように衣装を変え、随分楽しませてくれました。
注目した五輪は、落ち着いたグリーン系の衣装。これまでの衣装と比べるとインパクトには欠けるものの(十分凝っていますけど)、素敵でした。トリノ五輪から四年経て大きく成長した、大人の女性になって落ち着きさえ感じさせるようになった彼女を表しているようにも見えました。
しかしまあ、「こんなの誰も着れないよ!」なんていうド派手な衣装を難なく着こなすところばかりに目がいってましたが、ド派手でない衣装もやっぱり着こなせてしまうんですね。彼女のスタイルやセンスの良さをこれでもかと見せつけられたような気もします(笑)。
SPはふりふりがたくさん付いていましたが、やっぱり彼女は体のラインがわかる衣装がいいですね。エキシビの新衣装もとても似合っていました!

……と、話がそれました。

SPでは冒頭にトリプルルッツ-トリプルループの3回転-3回転コンビネーションに挑戦していましたが、FSでは演技全体の質を良くするためにと3回転-2回転に。SPの3-3、特に二回目のルッツジャンプのかっこよさにとても感動し、FSでは完璧なセカンドトリプルルッツを見たいなあと期待していたのでちょっと残念でした。
演技も全体的に少し勢いがないかなあと感じました。しかし、落ち着いて見られたというか、気持ちが先走るのではなく、一つ一つの動きを噛みしめるように滑っていたように思いました。
爆発的な感動ではなく、じわーっと染み入るような感動を受けました。
ミキティにはメダルをとってほしかったし、本人もそれが叶わなかったことは悔しく思っていると思います。しかし、それ以上に何か大事なものを得たというか取り返したというか、そんな風に見えました。
彼女にしかできない演技、雰囲気を醸し出していたようにも思います。誰でもない、安藤美姫がそこにいたというか。とても人間くさいところが、魅力的な選手ですね。
FSも点が伸び悩み、6位。最終順位は5位でした。
前回(15位)より10もアップして良かったと言ってのけるミキティ、かっこいいです。入賞おめでとう!!

次に登場したのは金メダル最有力候補、韓国のキム・ヨナ。
初めて見た時にはあまり印象に残らなかった今季のFSプログラムですが、今大会では評判の高いSP『007』よりもFSのほうがいいなあと感じました。
彼女は下手に媚びる演劇性のプログラムより、エキシビで見せた『タイスの瞑想曲』のように、伸びやかに音楽表現をするほうが似合うんですね。。
FSはガーシュインの『ヘ調の協奏曲』。
実況の刈屋アナが「水が流れるように」と仰っていましたが、まさにそんな演技でした。ドラマチックさ、派手さはありませんでしたが、とても良かったです。
あと、青に銀のラインストーン(?)をあしらった衣装も素敵でした。青色もとても綺麗な青でしたしねえ。シンプルながらインパクト大な衣装。
しかし何より凄いのは、恐ろしいくらいのプレッシャーの中、これだけの演技ができてしまう精神力! いや~、あっぱれでした。
金メダルおめでとう!!

そして、日本の浅田真央です。
今季はこれまでの彼女のイメージを覆すようなラフマニノフの『前奏曲「鐘」』。
なかなか調子が上がらないこともあって、ファンだけでなくあらゆるところから「曲を変えたほうがいい」だの何だの言われることのあったプログラム。私も正直、大丈夫だろうかと思ったこともあったのですが、まさか五輪という舞台でこんなにも素晴らしい演技を見せてくれるなんて!!
まずは何と言ってもトリプルアクセル。FSでトリプルアクセルを二度入れるという女子シングル初の快挙を(SP・FSともに入れるという快挙も)成し遂げました。
それだけでも凄いのに、演技そのものも凄かった。『鐘』に負けない、というか『鐘』をも越えるというか。
もしかしたら今の彼女には『鐘』はまだ早いかもしれないし、合わない部分もあるかもしれないですが、滑る者の存在というか演技が、プログラムさえも越えてしまうことがあるのかなと、彼女の演技を見て思いました。SPもですが、プログラムの欠点が見えなくなってしまうことがあるんだなと。
後半、「足に疲れがきていた」とジャンプにミスが出てしまいますが、最後の最後まで、演技終了後に見せた涙も含めて、浅田真央という選手の強さと凄さを感じた大会となりました。
彼女が欲しがっていた金メダルには届きませんでしたが、それは次回に持ち越し、ということでしょう!
さらなる高みを目指してほしいです。
銀メダルおめでとう、真央!!

真央の次は、試合前に最愛の母を亡くしたというカナダのジョアニー・ロシェット。
SPは涙を堪えての演技で、見ているこちらも演技の最中から泣いてしまいました。哀しみを堪えてミスなく滑りきった彼女に、ただただ拍手でした。
FSはSPの時よりは少し落ち着いていたようにも見えましたが、彼女の悲劇が頭から消えることはありませんでした。
曲はサン=サーンスの『サムソンとデリラ』。正直言うと、もうどんな音楽でどんなプログラムだったかというのは覚えていません。ただ、最後まで滑りきってと、それだけを願って見ていました。
ジャンプの着氷で小さなミスがいくつかありましたが、転倒などの大きなミスはなく、彼女は見事に滑りきりました。
地元カナダの大きな期待と母を亡くした哀しみと、様々な感情に押し潰されてもおかしくなかったのに、見事でした。
SP・FSともに3位。銅メダル獲得となりました。

キム・ヨナからの上位三名の怒濤の演技が続き、最終滑走となったのはアメリカのミライ・ナガスでした。
フラットとともにアメリカ期待の若手として五輪にやってきました。SPは鼻血を出しながらも素晴らしい演技を見せ6位。FSではビゼー『カルメン』にのって、SPを上回る演技で見事4位入賞となりました。
ご両親は日本人ですが、アメリカ生まれアメリカ育ちで雰囲気は完全にアメリカ人な彼女。全米選手権では優勝したフラットに次ぐ2位でしたが、「ミライのほうが良かったんじゃないの?」と地元の新聞が書くほど、素晴らしい演技だったようです。
今大会も素晴らしい演技で、最終グループの異様な空気の中、爽やかさを振りまいて最後を締めてくれました。
フラットもミライも今回はメダルを気にせずに五輪を楽しんでいたようですが、やはり競技者としてはメダルが欲しいと思います。ミライもそのような旨のことを言っているようです。
まだ16歳。これからの女子シングルを引っ張っていく一人となることは間違いないと思います。
四年後にはどんな選手になっているのか、考えるだけでわくわくします。

……というわけで、バンクーバー五輪フィギュアスケートの感想は終わりです。
エキシビも見ましたが、感想については気が向いたら書きます。なんというか、とにかく疲れてしまいました(笑)。
もしかしたら、こんなに気合いを入れてフィギュアを見たのは初めてかも知れません。それも(一応)全種目。
たぶんソルトレイクあたりは結構真剣に見ていたはずなのですが、今はもう記憶も薄れてきています。録画して何度も繰り返し見たり、なんてこともしませんしね。万年ニワカですし。。
今回はこうやってブログに書くことで、自分の思ったことや選手の演技・姿を振り返っているので、少しは強く残るんじゃないかなあと思います。時が経てば薄れていくのが思い出ですから、いつかはぼんやりとしか思い出せなくなるんでしょうけど。

採点等でいろいろと問題の噴出した大会でもありました(前々から言われてはいたけど)。正直私でさえ、疑問に思うことは多々ありました。今回の議論が良い方向に向かってくれたらいいのですが。。
スポーツとしてより高みを目指す選手たちの努力が結果に反映されるような形になってほしいと思います。そして、類い希な才能にきちっと光が当たり、評価がなされること。
フィギュアスケートはスポーツじゃないと言われるのは嫌です。私はアイスショーよりも、競技としてのフィギュアが大好きなので。

スケートの楽しさとスポーツの醍醐味とドラマを十分すぎるほど楽しませてもらいました。すべての選手に感謝の気持ちでいっぱいです。

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