『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ』

『踊る大捜査線』(以下、『踊る』)は娯楽作品として最高レベルにあると思っていたので、最新作の出来には不満だった。
大したファンでもない私がこんなことを言うと怒られるかもしれないけど、感じたことは言わずにはいられないので、とりあえず書いてみる。

※今回の感想はネタバレはほとんどありません。『踊る』をまったくご存じない方には何を言っているのかわからないかもしれません。

今回の『踊る』には、ただの商業作品では終わらせたくないという、作り手の欲が見えた。真犯人に言わせた台詞や、何より作品全体のトーンがわざとらしいほど重かったのは、「人間の闇に鋭く迫る」ドラマにしたかったからなのだろうか。
しかし、『踊る』にエンタメを期待していた私には、それが残念だった。

今回の『踊る』はエンタメに徹しきれず、中途半端な作品になっていた。
娯楽作品としてはA級のシリーズだと個人的には思っていたけど、今作はB級だ。
笑いも涙も恋愛も友情もコメディもドラマもシリアスも、すべて詰め込んで、見事に失敗していた。
そして肝心の、「踊る」と「大捜査線」が抜けていたのだ。

つまらない頭脳戦に終始し、役所以上に無駄な金を使った印象。今作を事業仕訳するとしたら、室井さんさえその対象に入ってしまう。とにかく、無駄が多かった。

私が期待したのは、汗水流してお台場を駆けめぐる湾岸署だった。踊るように大捜査する、いつもの青島さん達だ。いつものあのメロディーにのって。
ワクワクもなければドキドキもない捜査なんて、少なくとも『踊る』では見たくない。

「事件に大きいも小さいもない」

だからこそ、小さな事件に汗水流す姿を見たかった。日本国民が人質の事件なんていらない。
政治の闇もいらないし、キャリアvsノンキャリアなんて、おつまみ程度にちょっと描いておけばそれでいいんだ。
ハイテクを駆使した寒い事件もいらない。もっと楽しく、熱い事件が見たかったのに。

どうやら、スタッフ(君塚さん)には犯罪と人間の関係性について、伝えたいメッセージがあったようだ。
しかしそれは、『踊る』では不要だった。最初からそのメッセージを言いたくて『踊る』シリーズを作ったのだとしたら、これまでの(今回も含む)イメージ戦略と表現は失敗だったということになってしまう。
言いたい事があるのなら、まったく別の作品を作ってそこで言って欲しかった。
なぜ『踊る』でなければならなかったのか。

※  ※  ※

常々思っていることだけど、『踊る』を見て改めて思ったので、何度目かになるかもしれないけど、また書いておく。

世の中には商業作品をバカにする人たちが一定の割合いる。

「芸術性がない」
「現実的じゃない」

批判するのは簡単だ。しかし、「人を楽しませる」ことがどれだけ大変なことか。創作をやっている人なら素人でもわかるはずだ。
ヒットの法則にならって作品を作ることは簡単かもしれない。しかしそれを実際ヒットさせるのは、また別だ。本当のヒット作は、そこからどれだけ生まれているだろう。失敗した作品のほうが圧倒的に多いはずだ。
ヒットしたら大いに誇っていい。
「中身がない」なんて批判は気にするな。
人を泣かせることも笑わせることもできない映画なんて、腐るほどある。
泣かせた時点で、笑わせた時点で勝ちなのだ。
それが映画という娯楽に一番に求められていることだと、私は考える。

『踊る』も、非現実的で(妙にリアルなとこもあるけど←3アミーゴス)突っ込みどころ満載のシリーズだ。それでも許せるのは、小さなネタが気にならないほどにパワフルで面白いからだ。
今作は『踊る』の一番いい面が消されていた。
ファン(しかもコアな)を喜ばせようと大サービスしたことでかえって作品が散漫になってしまったのも、ファンにとってもスタッフにとっても残念すぎる。

やりたいこととやるべきことは別。
今作は、製作側が何をしたいかよりも、「『踊る』に求められていること」に徹したほうがよかったのではないかと思った。それは、『踊る』にしかできないことでもあるからだ。

「エンタメに徹せよ!」

(↑恥ずかしいけど、あえて言う)

『踊る』に元気をもらいたくて見に行ったのに、目的は半分も達成できなかった。
それでも、「見て損した」とは思わないほどに楽しませてくれるのが、『踊る』のいいところだけど。。
次作があるのなら、今度はとことん楽しませてほしい。

4 Comments
  1. 作品はまだ見ていないんですが、
    室井さんが事業仕分け対象なくらいですか(汗)
    映画の踊る1で有名な「事件は会議室で起きているんじゃ~」より、
    その後の「室井さんどちらへ?」「…現場だ。」の方が
    印象的で好きなフレーズだったくらい室井贔屓なんですが(笑)
    踊るに限らず、最近のドラマ全般的にそういう傾向がありますよね。
    (人間の闇に鋭く迫る、的なもの)
    自分はそういう類いのものには魅かれないので、
    どこかで全体的な業界の傾向が変わってくれないかなぁと
    密かに願っていたりします~。

  2. こんばんは。
    3見たんですね!
    見たいな~と思っていたんですけど、子供がいるとどうしても映画館にはなかなか行けなくて・・・
    DVD出るのを楽しみにしていました♪
    映画は1では号泣した覚えがあります(苦笑)
    3はエンタメとしてはイマイチなんですねー・・・
    あまり深いところに迫られるモノは得意じゃないので、どうかなー・・・
    ハラハラドキドキして笑えて泣ける というのがとても理想ですけどね♪
    なんだか、今回のは、同じシーンでも泣く人と笑う人とに別れるところがあると、いいともに出ていた織田裕二が言っていましたが・・・それを聞いたときに「なんか難しいことに挑戦したなー」という印象でした。
    事業仕分けで室井さんが!?
    それはなんか悲しいですね(苦笑)
    最近は、DVDが出るのも早くなっているので、楽しみです!

  3. >Kenichiさん
    室井さんは一応重要な役割を果たしてはいるのですが、今までに比べると存在感が薄かったです。
    偉くなりすぎて、青島さんたちとの接点も少なくなってしまって。。室井さん、いなくてもよかったんじゃ…と思ってしまいました。
    中途半端にメッセージを込めようとするドラマ等は多いですね。
    そのせいか、商業なら商業と徹底しているものを見るとスカッとします。
    「容疑者 室井慎次」を見たばかりで、その流れみたいなものが今作でも見られたので、脚本の君塚さんは表現者として自分の思いや考えを作品に込めたかったのかなあ、なんて思いました。
    …と、これは勝手な想像ですが(^^;

  4. >ma*yoさん
    母が「小栗旬が出るから見たい!」と言うので(笑)、踊るファンの弟と母と私の3人で見に行ってきました。
    踊るファンの弟も母も、やっぱりハラハラドキドキがなかったと言ってました。
    キャストはとても豪華で、過去に登場した人物がたくさん出ていてファンにはたまらないようなのですが、キャラが多すぎて、それぞれのキャラが描き切れてなかった印象を受けました。一番目立っていたのはキョンキョンという…(苦笑)。
    織田さん、そんなことを仰っていたんですね!どこのシーンだろう。。
    俳優さんたちも、今回は今までと違うと感じながら演じられていたのかもしれませんね。
    最近はDVD出るの早いですよね~!
    「え、もう?」と思うことがよくあります。
    いろいろ文句を言ってしまいましたが、いつもの踊るらしい笑えるシーンもたくさんあるので、DVDで楽しんでください♪

コメントを残す

CAPTCHA