「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2010」で観客賞を受賞したのは、タジキスタン映画『トゥルー・ヌーン』でした。
観客賞の作品は見ておきたいと思ったので、バリアフリー上映でもあった最後の上映を見てきました。
舞台はタジキスタンの山間の村。ロシア人気象観測士のもとで働く若く美しい女性ニルファの結婚を控え、盛り上がる村人たち。
ところが式を直前に控えたある日、村に突然兵隊がやってきて「今日からここが国境」と村を二つに引き裂く。ニルファと婚約者も引き裂かれて……。
というお話。
完全なるフィクションではなく、大国の紛争に巻き込まれた国境の町ではよくある話だというのは、少し考えればわかることかと思います。
しかし、そういう事実を頭ではわかったつもりでいても、争いに巻き込まれた人々の苦悩まではわかるはずもなく……。
題材はとてもいいと思うのですが、この作品には魅力を感じることができませんでした。
それは私の無知だったり、考えの浅さからくるものだと思います。
ただ、映画として見ると、表現法だとかに目を見張るものがないように感じられたんです(こんなこと言って怒られるかもですが)。
たとえば、国境となった場所には有刺鉄線が張られ、その周囲に地雷が埋められるのですが、その地雷を踏んでラクダが死ぬシーンが妙に安っぽく感じられたり。。
この作品で重要なのはラクダの死に方の表現法ではなく、「どうしてラクダが死にいたったのか」という点ではあるのですが、そういった小さな点がいろいろと気になって、集中して見ることができませんでした。
この作品を見る前に『夢追いかけて』を見ていたので、少し疲れていたのか、前の作品の興奮をリセットできないまま見てしまったのかもしれません。
しかし、こういう政治的な問題が絡むと、知識の有無が直接感動と結びついてしまうので難しいですね……。
この山間の村では少なくとも二ヶ国語(たぶんタジク語とロシア語←ロシア語はさすがにわかった)以上使用されていたのですが、村民たちは相手によってタジク語とロシア語を使い分けるんですね。
政治だけでなく宗教や文化なども複雑に絡み、わからないもどかしさを引きずったまま最後まで見てしまった印象です。
感想らしい感想になっておらず、すみません。。
『トゥルー・ヌーン』(原題:True Noon/Qiyami Roz)
2009年/タジキスタン/83分
監 督:ノシール・サイードフ
出演者:ユーリー・ナザーロフ、ナシバ・シャリポワ、ナスリディン・ヌリディノフ
はじめまして。通りがかりでコメントさせていただきます。
私はこの作品をNHKで拝見しました。
>映画として見ると、表現法だとかに目を見張るものがない
とおっしゃるように、私も退屈に感じた部分が少なからずありました。
ただ、タジキスタンでは18年ぶりの映画製作とのことで、国内にはスタッフがいなかったそうです。
政治情勢には疎いのですが、不安定な歴史の中で映画文化が途絶えてしまったことにショックを受けました。
この映画が製作されたということ、それ自体に価値があると思っています。
結婚式はとっても華やかでしたね…(^_^)
>ASUDさん
そうだったんですか!
18年ぶりに製作された作品とは…。それなのにあれこれ要求するのは酷ですね。反省です。。
私もあちらの政治状況にはまったく疎いです。
今回は映画という視点でばかり見てしまいましたが、こういう作品では製作背景についても当然考えなければならないのかもしれませんね。
また見る機会があれば見たいです。
結婚式、華やかで賑やかでいいシーンでした。ヒロインの女性は美しいですし…。
村中で祝福する慣習もなんだか羨ましかったです。
わざわざコメントしていただき、ありがとうございました!