2012年3月・4月に鑑賞した映画

2012年3月・4月に鑑賞した映画の感想です。
鑑賞した作品は以下の通り。

3月
『善き人』
『ポエトリー アグネスの詩』
『青い塩』

4月
『アーティスト』
『僕達急行 A列車で行こう』
『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』

※  ※  ※

それでは、感想。鑑賞順です。ネタバレあります。
( )内は個人的な満足度。★5で満点。
※は鑑賞日と鑑賞劇場。

『善き人』 (★★★)
(2008年/イギリス・ドイツ)
舞台は1930年代のナチス政権下のドイツ。自身の著作がヒトラーの目にとまり、ナチスの人種政策に利用されてしまう大学教授を描いたドラマ。
原題は『GOOD』。これがなぜ『善き人』になってしまったのか、ちょっと疑問。主人公ジョンは、いたって平凡な一人の男で、そういった平凡な一市民が戦争に巻き込まれる悲劇を描いた作品だと思いました。
序盤、ジョンはある女子学生(後の浮気相手)に「信念を貫くことが大事」とか何とかかっこいいことを言っちゃうんですけど、彼に信念があるようには思えませんでした。信念なく、成り行き任せでフラフラ生きている印象。結婚生活の破綻も浮気も、友人との決別も、なるべくしてなったように思います。
政治に対する態度も同じで、ナチスの人種政策についても深く考えず、誘われるままナチスに入党、出世していきます。そして、ラストで初めて現実に直面して愕然とします。あの場面、彼の後ろで呆れていた兵士の表情がとても印象的でした。

ただ、ジョンの生き方を誰が責められるのか、と。彼の生き方って、自分のそれと重なるんですよね。家族のことも国のことも真剣には考えず、成り行き任せの、あの感じ。
そして、あの時代にあの場所で生きていた人々にとって、「GOOD」の意味って、何だったんだろうと思いました。ジョンは何度か選択を迫られるけど、どの道を選んでも、みんな苦しんでた。
ジョンにはモーリスというユダヤ人の友人がいましたが、モーリスが何度もナチスの過ちを訴えても、真剣に耳を傾けようとはしませんでした。終盤ユダヤ人迫害の現場を目にしてやっと事実を知るわけですが、彼にモーリスという友人がいなかったら、戦争が終わるまでその事実を知らなかったかもしれない。
無関心であることが悲劇を生むのだと、改めて思いました。そうでなくても戦争は悲劇しか生みませんが・・・。
決して他人事ではないと思わされました。

(※3月4日、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13)

『ポエトリー アグネスの詩』 (★★)
(2010年/韓国)
全く何も感じられませんでした。いやー、何ででしょうか。理由がわからない。テンポが合わなかった、というのはあるかも。風の音は好きでした。
それより、この日は上映中クシャミが止まらなくて、他のお客さんに迷惑かけてしまったかもしれないです。行かないほうがよかったかも、と後悔だけが残りました・・・。

(※3月4日、KBCシネマ)

『青い塩』 (★★)
(2011年/韓国)
裏社会から足を洗い、母の故郷で新しい人生を歩み始めた男と、彼を狙うヒットマンの女性との淡いラブストーリー?みたいな?
ポスターとか宣伝を見て、シリアスドラマなのかと思っていたのですが、全然軽くて、気軽に見られる作品でした。結構楽しめました。
期待していたソン・ガンホなんですが、ただのスケベおやじにしか見えませんでした(笑)。彼が演じる主人公ドゥホンを慕う若い組員とか、イケメン男優陣が一番の見所(私的に)。
ヒロインはダメダメ。ヒロインに魅力がないから、ドゥホンは彼女の「若さ」に惹かれてるようにしか見えないんですよね。だから、ドゥホンは若い女の子に慕われて鼻の下のばしてるオジサンに見えてしまう(笑)。だってほんとに嬉しそうにニヤニヤしてた、いろいろと。
楽しめたけど、いい作品とは言えないよなあ・・・って感じです。

(※3月28日、T・ジョイ博多)

『アーティスト』 (★★★)
(2011年/フランス)
こちらは試写会で鑑賞。
数々の映画賞を受賞し、話題となったサイレント映画です。サイレントからトーキー映画へと変わり行くハリウッドを舞台に、時代に追いついていけなくなったスター俳優の葛藤と愛を描いた物語。
私はサイレント映画もモノクロ映画も見ないので、この作品にあるオマージュやら何やらはさっぱりわからないのですが、それでも十分に楽しめました。音やCGを効果的に利用していて、「今」だから作れたサイレント映画なのかな、と思いました。

ストーリーは・・・正直言うと途中ダレてしまったんですけど、終盤の展開、一気に突き進んだラストに目が覚めるようでした。すべてはラスト数分のためだったんですね。ラストの、あの2人の姿は、映画を見終わった後もしばらく、脳裏に焼き付いていました。
それから、音楽。一番びっくりしたのは音楽でした。サイレント映画は初めてだったんですけど、なるほど、サイレントでは音楽が語るんですね。主人公の気持ちも何もかも。映画を見ながら音楽にこんなに心が弾んだのはいつ以来だろう。本当に素晴らしかったです。
そして何より、「映画は楽しむもの」なんだと改めて思いました。特に、映画を見ながら隣のお客と楽しそうに笑い、スクリーンに拍手を送る観客たち(←作品の中のお客さん)を見て。こういう映画体験を、私もしてみたいなあと羨ましく思いました。
そうそう、サイレントの時代、音楽はオーケストラの生演奏だったんですね。すごいですね。あれはいいなあ。
サイレントやモノクロを知らない私にとって、とても貴重な体験となりました。だからといって、サイレントやモノクロに興味を持ったかと言うと、そうでもないんですけど・・・(汗)。

(※試写会。4月2日、都久志会館)

『僕達急行 A列車で行こう』 (★★★)
(2011年/日本)
森田芳光監督の遺作となったコメディ・ドラマ。
鉄道オタクの青年2人の友情・仕事・恋愛模様をユーモアたっぷりに描いています。健康ランドのコーヒー牛乳じゃないけど、日々の中の小さな小さな幸せがあるから頑張って生きていけるんだ、そんな風に思える作品でした。
不動産会社に勤める小町(松山ケンイチ)と、父親の鉄工所で働く小玉(瑛太)が鉄道をきっかけに知り合い、恋愛や仕事でも繋がっていく展開がとてもよかったです。うまくいきすぎ、と言えばそれまでですが、人と人との出会いが思わぬところで繋がっていること、そして知らないところで壊れてしまうこと。
思いの他、ズシンとくる作品です。特に2人の恋愛の結末は、シビアというか、ちょっとキツイ。

2人は人生において、恋愛をそれほど重要視してはいないように見えるんですけど、失恋したらすごく落ち込むんですよね。そして、列車でダブルデートしたい、なんて語り合うんです。この恋愛との距離感が、なんかいいんですよね。
ただ、2人の恋愛感は少し違っていて、小町は女性を少しバカにしているというか、初めから「扱いが面倒」と思っている節があって、対する小玉は真面目。お見合いの席での反応もそうですが、順序とかすごく気にする。小町のほうが女性との付き合いは多いようで、それゆえに小町は女性に対してある程度の距離を置いているようなんですが。
一つ、すごく印象に残ったシーンがありました。小町と、貫地谷しほり演じるあずさのキスシーンです。あの場面は、小町がキスの途中で列車の音に反応したことよりも、あずさが目を閉じた時に見せた小町の反応(「あーはいはい、キスね」って感じの)のほうが印象に残りました。なんかねえ、ショックでした(笑)。ああ、男の人ってこういう風に思うんだなあって(もちろん一つの例にしか過ぎないんですが)。
もうね、全然ロマンチックじゃないです。列車の音に反応する前から、もうロマンチックじゃないんです。
恋愛って、思っているほどロマンチックではないし、輝いてもいないし、ばら色でもないし。そして、小玉の恋愛もそうですけど、未来と過去が足を引っ張るものなんだなあって思いました。
わかってはいるけど、こんな風に見せられると、やっぱりショックなんだなあ・・・。

そんなわけで、ちょっぴりにがーい後味の作品でした。

(※4月11日、T・ジョイ博多)

『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』 (★★★★)
(2011年/アメリカ)
舞台は1960年代、人種差別が横行していたアメリカ南部の田舎町。白人家庭でメイド(「ヘルプ」)として働く黒人女性たちとジャーナリスト志望の若い白人女性の交流と友情、差別に立ち向かう勇姿を描いた、笑いあり涙ありの秀作です。
理不尽な偏見と差別の中で笑顔を忘れずたくましく生きていく女性達の姿に元気をもらいました。事実を基にしたというストーリーはもちろん、女優陣の素晴らしい演技、料理やファッションまで見所満載で、最後まで飽きません。
お客さんは女性が多かったですが、それも見れば納得。見た後は女性にすすめたくなります。ただ、こういう作品をカップルで見に来れるっていいなあ、とも思います。私が見に行った日も何組かいましたが、ちょっと羨ましかったです。。

白人による黒人への偏見・差別が物語の軸となっていますがそれだけではなく、同じ白人でも出身による差別を受ける女性も出てきますし、何より女性自身が弱い立場にあったことなど、当時の様々な問題が描かれています。
「理想の主婦」を必死に演じる裕福な白人女性たちの姿はどこかおかしいし、悲哀さえ感じます。しかし、それが正しいとされ、求められていたんですよね。彼女たちがしていたことは決して許されることではないけれど、それとは別に、彼女たちにも苦しみがあったことも受け止めなければならないと感じました。
主人公の白人女性・スキーターの一家の問題は、「老い」について考えさせられます。スキーターの母親の病もそうですし、長年勤めたメイドの解雇の件も。コンスタンティンを見た瞬間、老いた姿に「ん?」と思いました。あの解雇の仕方はよくなかったけど、いつかは辞めてもらわなきゃいけなかったはずで。それが、主人とメイドの関係なんですね。どんなに家族のように親しくしてきた仲でも、「雇用者」と「被雇用者」という関係は変わらないわけで、長い間築き上げてきたものがあんな形で終わってしまうことに、寂しさを覚えました。

それぞれ立場は違うけれど、待ち受ける困難も覚悟の上で一歩踏み出していく女性達の姿には、本当に元気をもらいました。
すべてがすぐにうまくいくはずもなく、社会を変えようと立ち上がったゆえに職を失ってしまった女性もいます。それでも彼女は歩み続けていく。
その後姿と、メアリー・J・ブライジが歌うエンディングテーマ『The Living Proof 』に、最後の最後まで心が震えました。
おすすめの作品です。

(※4月22日、TOHOシネマズ天神)

※  ※  ※

3月・4月は「あれを見たい」「これを見たい」とあれこれ言っていましたが、結局2ヶ月で6本しか見れませんでした。うーん、気分と時間とお金と、タイミングがなかなか合いません(毎度おなじみの言い訳)。
まあ、ぼちぼち、見ていきます。

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