2013年上半期に鑑賞した映画(2)~『次の朝は他人』『だいじょうぶ3組』『舟を編む』など

2013年上半期に鑑賞した映画(1)に続いて、今年鑑賞した映画の感想です。

※  ※  ※

ネタバレあります。
( )内は個人的な満足度。★5で満点。
※は鑑賞日と鑑賞した劇場名です。

『次の朝は他人』(★★★)
(2011年/韓国)
「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」という、ホン・サンス監督の4作品を連続で上映する企画の1本。結局この1本しか見れませんでしたが・・・。

冬のソウルを舞台に、出会いと別れを繰り返す1人の映画監督の日々を追います。
主人公の映画監督とともに、彼の先輩である男性の恋愛も描かれていたのですが、これが良かったです。この2人の女性への態度、2人の関係性も比較しながら見ると面白いです。

2人は似てますよね。
2人ともそれぞれ相手の女性に対して「いい子だ」と言ってしまうところに、ふらふらと恋を重ねる男の哀しさをみました(『雪国』の島村を思い出した)。
個人的に一番印象に残ったのは、終盤、主人公と、彼らの行きつけのバーの女性オーナーが結ばれるところ。一夜を共にし、別れるまでの2人のやりとりを見て、自分の人生におけるいくつかの疑問が解けたような気がしました。プライベートなことなので具体的には書けないんですが。

自分の恋愛を隠し撮りされたような気分で、怖ささえ感じる作品。面白いのですが、素直にそう言えないというか。

※3月2日鑑賞、KBCシネマ

『だいじょうぶ3組』(★★★)
(2013年/日本)
乙武洋匡さんが小学校の教員を務めた経験をもとに執筆した同名小説の映画。
初めはどうなることかと思ったけど、示唆に富むいい作品でした。とにかく子ども達が素晴らしいです。彼らの繊細な演技は一見の価値あり。

子どもたちはオーディションで選ばれ、ほとんどが演技初挑戦だったそうです。彼らの感じたことを素直に表現してもらうため、大まかなあらすじのみを事前に知らせ、台本は撮影時の当日分のものだけを渡すという方法が取られていたそうです。そのおかげか、彼らの演技にはとてもリアリティがあり、本当の教室を見ているようでした。『パリ20区、僕たちのクラス』を思い出したり。
主人公は完全に子どもたちでした。乙武さんでさえ、脇役のよう。
子どもが主人公の映画にはお決まりの疾走感も良かったです。運動会の徒競走や、チャリで街中を駆け抜けるシーンなど。

子ども達の先生(乙武さん)に対する思いが結果的に先生を苦しめることになる登山のシーンも良いです。
乙武さんって「強い障碍者」というか、いつも前向きで明るい人というイメージなんですが、この登山のシーンは「強い」障碍者を求められ続けてきた乙武さんの苦悩が見えた、貴重なシーンでした。
結局美談で片づけられたのが残念でしたが。

しかし、一番びっくりなのは乙武さんの字。きれいなんですよ。私は汚いので、羨ましかったです・・・。

※3月5日鑑賞、TOHOシネマズ天神(試写会)

『シュガー・ラッシュ』(★★★)
(2012年/アメリカ)
ヒーローにあこがれる人気ゲームの悪役を主人公に描いたディズニーアニメ。
「スーパーマリオ」や「ストリートファイター」、「ソニック」シリーズなど、日本の人気ゲームのキャラクターも登場します。ターゲットは30代とその子供かな?ゲームに親しんだ世代は序盤だけでも楽しめます。もちろん、作品自体も面白かったです。
同時上映で『紙ひこうき』という短編が上映されたのですが、これがとても良かったです。さすがディズニーだなあと(ディズニー作品あまり見ないけど)。

※3月12日鑑賞、TOHOシネマズ天神(試写会)

『舟を編む』(★★★)
(2013年/日本)
出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描いた、三浦しをんの同名小説の映画化。
丁寧な作りで俳優陣も安心して見られるし、いい作品だと思うんだけど、いかんせんストーリーが・・・。この時代に、「今を生きる辞書」を紙媒体で、しかも15年もかけて作り上げるという作業に、感動を超えた虚しさを覚えてしまいました。(”今”と”15年”って矛盾してませんかね・・・)
ラストは辞書が完成して終わるわけですが、完成したところで彼らの明るい未来が見えるわけではないから、モヤモヤしたものが残るんですよね。みな味があり、いいキャラクターだったので、余計に切なさが残ります。

俳優陣では、オダギリジョー、加藤剛、池脇千鶴が特にいいなあと思いました。オダギリジョー演じる西岡がいなかったら、この映画どうなってたんだろう。主人公のカップルだけではつまらなかったですよ。いいキャラクターでした。演技もファッションも、オダジョーが一番の見所。

それにしても、辞書作りって面白そうですね。ああいう地味なアナログ作業は好きなので「やってみたいなあ」と一瞬思ったりもしたんですけど、年月を考えると・・・。それだけに、加藤剛演じた監修者の仕事に対する姿勢は素晴らしかったです。オダジョー演じる西岡も普段はおちゃらけてますが、きちんと合った役割を与えれば、しっかり仕事はこなすんですよね。手を抜いて仕事をしている人がいないという点は、よかったかな。
しかし、実際に出版社では今もあんな感じで辞書作りをしているんでしょうか。。

※4月4日鑑賞、都久志会館(試写会)

『藁の楯 わらのたて』(★★★)
(2013年/日本)
孫娘を殺害された政財界の大物が、孫を殺害後行方不明になっている犯人の殺害を依頼する全面広告を新聞に掲載。その報酬は10億円。
日本中が騒ぎになり、殺気立つ中、身の危険を感じた犯人は潜伏先の福岡で自首。彼を警視庁まで移送することになります。物語は、警視庁に着くまでの、犯人の護衛として選ばれた5人のSPと犯人との攻防を描いています。

SPのリーダーに大沢たかお、同僚に松嶋菜々子、犯人に藤原竜也。
大沢たかお、こんなにかっこよかったですか?惚れちゃいました。この作品は、大沢たかおを見るための映画です、うん。
犯人役の藤原竜也はもう言うことないというか(笑)。いつまでこういう役をやるんだろう。いや、ハマってるんですけど、ハマりすぎというか。
松嶋菜々子、藤原竜也演じる犯人にババア呼ばわりされるのですが、かつて数々のドラマの主演をやり、美人女優の代表格だったような彼女が、シワくっきりのメイクでババア呼ばわりされるような役もやっちゃうんだな、と。時の流れを感じました。

物語はなかなかスリルがあって面白かったです。
新幹線のシーンは台湾で撮影したそうですが、さすがにオレンジの車体は日本ではない(笑)。違和感ありまくり。日本ではこういうシーンの撮影はできないんですね・・・。

※4月11日鑑賞、TOHOシネマズ天神(試写会)

『イノセント・ガーデン』(★★★)
(2013年/アメリカ)
18歳の誕生日に良き理解者だった父親を事故で失った少女インディア。母とともに葬儀に参列するが、そこへ行方不明になっていた叔父が突然現れ、一緒に屋敷で暮らすことになる。ところが、叔父が現れてから、不可解な出来事が次々に起こり・・・。

インディアの母親役としてですが、好きなニコール・キッドマンが出演しているということで見に行ったのですが、まさかサイコとは。監督のパク・チャヌクや主演のミア・ワシコウスカなど、映画好きにはたまらないキャスト・スタッフのようで。何の予備知識もなく見た私は一体・・・。

序盤は少し退屈しましたが、叔父の正体が次第に明らかになっていく中盤からは面白くなっていきました。とどめは、インディアの真実が明らかになるシャワーシーンでしょうか。
私なんか素直に「人が目の前で殺されてショック受けたんだな」と思って見ていたので、カメラが下に移動していって本当の行為が分かった時に「ええっ?」と声が出かかったくら驚いてしまいました。

細部までこだわり抜いていて、いろいろとわかればより楽しめるんでしょうが、私にはストーリーを追うだけで精一杯でした。
もちろん、ストーリーだけでも十分楽しめます。

※6月19日鑑賞、TOHOシネマズ天神

『図書館戦争』(★★★)
(2013年/日本)
ベストセラー作家・有川浩の同名小説の映画化。
国家によるメディアの検閲が正当化された日本を舞台に、良書を守るため戦う自衛組織「図書隊」の若者たちの成長や恋を描きます。

上記の『藁の楯』では「大沢たかおを見る映画」と書きましたが、こちらは「岡田准一を見る映画」です。
かっこいいですねー、岡田くん。背が低い?気にしない気にしない!
アクションシーンも(ちょっと過剰な気もしないでもないですが)よかったです。こんなに動ける俳優さんだったんですね。

ストーリーはあれですね。作中でも誰かが言っていましたが、「戦争ごっこ」をただただ真面目にやっている、という感じ。喜劇のような感じもするんですが、岡田くんがかっこよかったからいいや。というか、岡田くんしか覚えていないんだ、もう。
でもまあ、最後まで楽しめる作品ではありました。

※6月19日鑑賞、UCキャナルシティ13

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あとの2本の記事もよろしくです。
2013年上半期に鑑賞した映画(1)
2013年上半期に鑑賞した映画(3)

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