ドラマ~東北楽天ゴールデンイーグルス日本一、そして田中将大

東北楽天ゴールデンイーグルスの日本一で、2013年の日本プロ野球も幕を閉じました。
セ・リーグ覇者巨人とパ・リーグ覇者楽天による日本シリーズ。第7戦までもつれる熱い闘いに、何度も心がふるえました。
楽天の選手、ファン、監督、球団関係者の皆さん、日本一おめでとうございます!

野球好き・スポーツ好きとして、やはり感じたことを書きとめておきたいと思ったので、書いてみます。

※  ※  ※

甲子園を沸かせた田中将大投手が、当時創設2年目の楽天に入団してから7年。
25歳という若さながら、チームだけでなく、日本のエースまで成長し、弱小球団と呼ばれたチームを日本一まで導きました。
一昨日の第6戦、多くの人が「この人が優勝投手となるんだろう」と思い、また望んでいたのではないでしょうか。私もその一人です。
3勝2敗と王手をかけて仙台へ戻ってくるというこれ以上ない舞台。試合前からテレビの前に座り、その瞬間を待っていました。ところが、田中投手はどうも調子が良くない。予想もしていなかった連打を浴び、あれよあれよと失点。これまで湿っていた巨人打線に火をつけ、逆王手をかけられてしまいました。
さすがは巨人。ただでは負けませんね。正直、なかなか調子の上がらない巨人にヤキモキしていたので、巨人の強さを見ることができて安心しました。ただ、昨日の第7戦でももうちょっと打ってくれたら…良かったのですが。

迎えた昨日の第7戦。先発の美馬投手は、シーズン中は思うような結果が残せなかったものの、クライマックスシリーズ、日本シリーズと大舞台で、今季最高の出来といわれるような結果を出してきました。
昨日も、初回は危なかったもののどんどん調子を上げていき、巨人打線を1安打無得点に抑える素晴らしいピッチング。しかし、6回を終えたところで降板。同じく日本シリーズで結果を残している則本投手がリリーフとして登場するのはわかっていましたが、あと1回くらいは美馬投手の投げる姿を見たかったかなあ。ちょっと残念。

2番手として登場した則本投手。ルーキーとは思えぬ堂々たるピッチングと気迫。ビールかけ後に出演していたスポーツ番組を見ましたが、相当強気な性格のようですね。「俺が決めてやるんだ、という気持ちで」とサラッと言っていました。今は怖いもの知らずなのかもしれません。表情も自信に満ち溢れていました。
プロ1年目を最高の形で締めくくることができたわけですが、これから先は悔しい思いも何度も経験することになるでしょう。でもきっと乗り越えていける、そんな強さを感じました。

そして、9回。田中将大投手の登場。
ブルペンで投球練習を行う彼の姿を見ていない球場のファンも彼の登場を予感していたでしょうし、待っていたのでしょう。彼の名前がコールされると、大きな歓声に包まれました。

実は昨日、一番感動したのが、彼がマウンドで投球練習を始めた時でした。
ホーム球場では、各選手が登場する際に自身で選んだ登場曲が流れます。野手ならバッターボックスに立つ時、投手ならマウンドに上がる時。
田中投手が登場した時に流れたのが、ファンキーモンキーベイビーズの『あとひとつ』でした。
この曲自体は3年前に高校野球番組のテーマソングとして書かれたそうで、ジャケットとPVに田中投手が起用されたという縁があるようです。
田中投手が投球練習をしている間、球場のファンもこの曲を歌い続けていました。田中投手だけでなく、ファンにとっても支えとなっていた曲なんですね。

前日160球も投げたことを考えれば、投げてほしくない、投げるべきでない。そう多くの人が思っていたと思います。それでも心の奥底では、彼がマウンドに戻ってきてくれることを願っていたし、だからこそグラウンドに現れた瞬間涙がこぼれた。
あの歓声を聴いて、「今日、田中将大が投げることはもう誰にも止められないんだ」、そう思いました。
彼が今年築き上げてきたもの、入団してから築き上げてきたもの。そして今後の去就。。
いろいろな思いが交錯した、一言では言い表せない、異様でもあるし、感動的でもある、全く何か違う空間があの瞬間にはあったように思います。
まるで、映画のようで。こんなドラマチックなシーンが現実に存在するのかと。音楽も含めて、すべてが完璧な、忘れられないワンシーンでした。

優勝が決まった直後、歓喜の輪ができ、各選手が喜びと涙で溢れる中、一人脱力した様子の田中投手の姿がありました。
疲れていたんでしょうね。いろいろな思いもあったのかも。お立ち台に立ち、ファンの前では笑顔で叫んでいましたが、台を降りた瞬間スッと厳しい表情に戻ったのが印象的でした。
でも、ビールかけでは思い切りはしゃいでいましたね。あれを見てホッとしました。やっぱり、笑顔が似合いますもん、マーくんも。

昨夜から夜中のスポーツ番組をはしごし、今朝はワイドショーをはしごしてました。
星野監督が仰っていました、「一瞬だけでも、東北の方たちに喜びをプレゼントできてよかった」と。おそらく、それを願っていたのは、楽天チームの方たちだけではなかったのではないでしょうか。私も、東北のファンが喜んでいる姿を見たかったですし、大勢の方の笑顔と涙を見て、ホッとしました。
もちろん、みんながみんな、この喜びに浸れるわけではありません。でも、一人でも多くの方が笑ってくれるなら。
今季、楽天が首位で前半戦を折り返した時、「今年はいけるかも」と思いました。私が住む福岡にも球団はありますが、今年はこっそりと、楽天の優勝を願っていました。上記のような思いがあったからでした。
仙台に住む友人とも、特に優勝が見え始めたあたりからは毎日のように楽天の話をしていました。昨日も2人で喜びましたが、私は友人に「ありがとう」と言われてしまいました。一緒に応援してくれて、ありがとう。そんな意味だと思いますが。いやいや、こちらこそ…。

東北楽天ゴールデンイーグルス、いいチームですね。今年だけでなく、来年も応援していこうと思います。ちょっと気になる選手も何人かできましたし(プレーとか顔とか諸々…笑)。
ファンの声援も、良かったですね。ファンあってのスポーツだと、改めて思いました。選手のいいプレーを引き出すのも、テレビの向こうの観客に感動を与えるのも、ファンあってこそ。
野球に限らず、どんなスポーツにおいてもそうですけど、選手と同じ場所に立つファン次第で、いい試合にも悪い試合にもなる。
まさに、ファンとチームが一体となって掴んだ優勝であり、ドラマだったんだと思います。

改めて、東北楽天ゴールデンイーグルスの選手、監督、球団関係者、そしてファンの皆さん。日本一おめでとうございます!

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