九州交響楽団 第343回定期演奏会

9月18日に行われた九州交響楽団の定期演奏会に行ってきました。
今月は、2回目のコンサートになります。

曲目は以下の通り。今回のテーマは「スクリャービン没後100年記念 ロシア音楽の潮流」ということで、ロシア音楽3曲でした。

ボロディン/歌劇「イーゴリ公」序曲
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
アンコール:スクリャービン/2つの左手のための小品 ノクターン
(休憩)
スクリャービン/交響曲 第4番 ハ長調 作品54「法悦の詩」

今回のソリストは、小山実稚恵さん。人気のあるピアニストだそうですが、私は初めて^^;
曲はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(ソチ五輪を思い出す!)でした。
その演奏は、(私が感じるに)癖のない誠実な演奏というか、耳にすっと入ってくる演奏で、感動のあまり演奏会終了後に彼女のCDを買い、サインまでいただいたほどでした。
小山さんのサイン入りアルバム
「また福岡にいらしてください」と伝えたら、にっこり笑ってくださって。演奏から伝わる誠実さそのままの笑顔に、さらに感動でした。

後半はスクリャービンの「法悦の詩」。
この曲は初めてでした。
九響のプログラムノーツを少し引用させてもらうと

1905年から1908年にかけて書かれたこの曲は、もともと作曲者自身の作による詩を表題として着想されたもので、精神が自由を求めて現世と対極にある神的な宇宙と合体し法悦の境地を獲得する、というスクリャービンならではの内容が、一楽章形式の大きなうねりの中で描かれている。(略)構成的にはソナタ形式を土台とするが、作曲者の意図は法悦の境地へ至る過程を感覚的に捉えるところにあったのだから、形式に沿って聴くより、全体の流れのうねりの高まりに身を任せて聴いたほうがよいかもしれない。

独創的で、大衆受けするような曲ではありませんでした。私もなかなか曲に入り込めなくて。
でも、管楽器を始めとした音色の豊かさは、これぞオーケストラの醍醐味といった感じで、終盤までは豊かに響きあう音を堪能していました。
そしてクライマックス。これがすさまじく!
このクライマックスを聴くために今日があったのだと思ってしまうほどでした。
うねりがホール全体に広がり、ホールが音楽と一体化してしまったかのよう。そしてその音楽は私の体になだれこんできて、私自身も、ホールと、音楽と一体化していく。
うまく言えないのですが、あれほど音楽に心も体も満たされた経験はありませんでした。感動で心が満たされることはあっても、音楽そのものに満たされるというのは初めての体験でした。

この「法悦の詩」の英題は「The Poem of Ecstasy」。
Wikipediaによると、エクスタシーの語源はギリシャ語で「魂がみずからの肉体の外に出て宙をさまよう、といった意味が込められている」とのことで、あのクライマックスにぴったりの言葉。私は、魂が肉体の外に出るというよりは、魂と肉体の境界線が音楽によって溶かされ、三者が一体化する・・・という感じでしたけど。(なんだか言葉遊びみたいであれですけど)

というわけで、毎回コンサートでは新しい感動を得ていますが、今回のコンサートは新しいどころではない、もしかしたら最初で最後かもしれない、本当に貴重な経験をさせていただきました(「法悦の詩」は演奏機会が少ない楽曲らしいので)。
いやはや、世の中には本当にいろんな音楽がありますね!

※  ※  ※

九州交響楽団 第343回定期演奏会
2015年9月18日(金)/アクロス福岡シンフォニーホール
指揮:小泉和裕
ピアノ:小山実稚恵
コンサートマスター:扇谷泰朋

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