アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015(4)~西・中央アジア他

アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015の感想、映画祭が終わって2ヶ月以上経ちましたが…やっと今回で終わりです^^;
最後はトルコ、イラン、キルギス、ニュージーランド(!)の作品の感想です。

※ネタバレあり

※  ※  ※

( )内の★は個人的満足度。5点満点です。

『山嶺の女王 クルマンジャン』(★★★★★)
クルマンジャン_ポスター
英題:Kurmanjan Datka Queen of the Mountains
2014年/キルギス/136分
監督:サディック・シェル・ニヤーズ
キャスト:エリナ・アバイ・キズィ、ナジラ・マムベトワ、ジャマル・セイダクマトワ、アジズ・ムラディラエフ 他

19世紀、中央アジアにおいてキルギス人の誇りを貫いた高地民族の女王クルマンジャン・ダトカの生涯を壮大なシルクロードの大自然を舞台に描いた歴史ドラマ。
キルギスで「国の母」とも言われるクルマンジャン。この作品は、彼女の生誕200周年を祝うべく、国家プロジェクトとして大規模な予算をかけて制作された大作です。

正直なところ、キルギスの映画と聞いてもピンとこないですし、どれほどの映画製作技術を持っている国なのかもわからないということで、見る前はあまり期待していなかった(完成度において)のですが、とんでもなかったです。
スクリーンに映し出されるシルクロードの大自然は溜息が出るほど美しく(映像もきれいでした)、琴線に触れるラストシーンが印象的な物語はとても見応えがあり、キャストは大自然同様うっとりしてしまう美男美女揃いと、ハリウッド映画にも見劣りしない歴史ロマン。完成度は高く、素晴らしい作品でした。
今年の本映画祭観客賞で堂々の2位。驚きと感動で、多くのお客さんが心動かされたのではないかと思います。

『ダークホース』(★★★★★)
ダークホース_ポスター
英題:The Dark Horse
2014年/ニュージーランド/124分
監督:ジェームス・ネイピア・ロバートソン
キャスト:クリフ・カーティス、ジェームズ・ロールストン、カーク・トーランス、ミリアマ・マクダウェル 他

精神疾患を抱えるチェスの天才が、ギャングばかりの街で生きる子どもたちにチェスを教え、希望を与えていくという実話を基にした感動作。
弱小チェスクラブを勝利に導くという王道ストーリーと並行して描かれる、主人公と兄・その息子の葛藤の物語がとても素晴らしかったです。

精神疾患のため生き辛さを抱えている主人公ジェネシス、そしてギャングとしてしか生きることのできなかったジェネシスの兄。
兄の息子マナの将来を巡って対立する2人が選んだ結末は、涙なしには見られません。
また、父と同じようにギャングの道を歩むことになったマナ。決して自ら望んだわけではないギャングの世界から逃げる為、彼はジェネシスの教えるチェスクラブに居場所を求めるのですが、父親と叔父の間で揺れ動く彼の苦悩する姿にも、大変胸が締め付けられました。

主人公はニュージーランドの先住民族であるマオリ族なんですが、演じるのは同じくマリオ族出身のクリフ・カーティス。
彼や、マナ役のジェームズ・ロールストンの演技もとても素晴らしかったです。
「弱小チームの下剋上」というただの王道ストーリーでは終わらない、貧困と教育といった社会問題から、人生とは何かという大きなテーマも抱え、それでいて娯楽性も失っていない、大変見応えのある作品でした。

『未熟なざくろ』(★★★)
未熟なざくろ_ポスター
英題:Unripe Pomegranates
2014年/イラン/80分
監督:マジドレザ・モスタファウィ
キャスト:アンナ・ネーマティ、ペジュマン・バゼギ、ラベエ・マダニ 他

慎ましく生きる若夫婦の日常と突然訪れた悲劇を描くイラン映画。
決して豊かな生活ではないけれど、小さな夢を持って生きる若い夫婦のひたむきな姿が胸に沁みます。とても丁寧に描かれていて、モスタファウィ監督(31歳と若い監督さんなんですが)の優しい眼差しが伝わってくる作品でした。

社会問題をテーマに抱えながらも、決してイデオロギーに走ることなく、人々に寄り添うことに徹する。
今年の映画祭では20代や30代の若い監督やプロデューサーさんが目立っていたように思うのですが、彼らの作品やQ&Aでの言葉から感じたのは、まさにそういう姿勢でした。
国が違えば、暮らしや考え、それらに付随する問題や悩みも当然違ってきますが、国や地域、人種関係なく、共通するものも存在する。
それを確認するために、私は毎年この映画祭に通っているのかもしれません。

映画に戻って…
ヒロインは不妊に悩んでいるのですが、終盤妊娠が発覚した際の彼女のセリフがとても印象的です。
歯車がうまく噛み合わない中で、それでも生きていかねばならない。若い夫婦に幸あれ、と願わずにはいられませんでした。

『望郷の歌』(?)
望郷の歌_ポスター
英題:Song of My Mother
2014年/トルコ・フランス・ドイツ/103分
監督:エロル・ミンタシュ
キャスト:フェイヤズ・ドウマン、ズベイデ・ロナヒ、ネスリン・ジャヴァドザーデ、アジズ・チャプクルト 他

ストーリーは映画祭公式サイトより。

教師のアリは小説家志望。母親とイスタンブールの多くのクルド人が住むエリアに住んでいた。旧市街の高級化に伴い、親子は郊外へと引っ越しを余儀なくされた。隣人たちはトルコ東部の彼らの村へ帰ったと思い込む母親は、毎朝荷物をまとめ、村へ戻るために街中をさまよう。アリはそんな母親を優しくなだめるしかなく、母親が聞きたいという歌手のテープを街中で探すのだが、その歌声はなかなか見つからない…。

トルコの大都会イスタンブールで暮らすクルド人親子の悲哀を描いた作品…らしいのですが、すみません、かなり早い段階で寝てしまいました。。
私、トルコ映画とはあまり相性が良くないような気がします。毎年寝てるような…^^;

※  ※  ※

以上、2015年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で鑑賞した作品の感想でした。
今年で6回目の参加となりましたが、初めて招待作品すべてに足を運ぶことができました。
どの作品も見応えがあり、本当に楽しい時間を過ごすことができました。
来年も楽しみです♪

※他の作品の感想は、カテゴリー「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」をクリックしていただければ、一覧が出てきますので、興味のある方はご覧ください。

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