2010年から毎年、趣味のまとめみたいな記事を残していたのですが、一昨年(2015年)は結局書けずじまいでした。
数年とはいえ、せっかく続けていたことですので、また再開したいと思います。
・・・というわけで、2016年に観たもの・聴いたもの。まずは音楽から。
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2015年から、「月一コンサート」を目標に掲げ、月に1回はクラシック音楽のコンサートに足を運ぶように心掛けています。
「クラシックのこと、もうちょっと知りたい」という軽い気持ちで通い始めたのですが・・・
私の聴き方は、作曲家の名前も曲のタイトルもよく知らずにホールへ行って、新鮮さ(ほとんど初めて聴く曲なので)とその場の雰囲気を楽しむ、ということがほとんどでした。
それは楽しい体験ではあるのですが、あくまでも「消費」であって、よほど印象的な演奏会でないと何ヶ月か経てば、もう記憶には残ってないんですね。
せっかくの体験が自分の中に蓄積されていかず、「これは良くない」と思うようになり、少し聴く姿勢を変えたのが2016年でした。
まず始めたのは、鑑賞の記録。5、6年前から演奏会には足を運んでいたので、その頃聴いた曲も含め、リストにまとめました。
作曲者や楽曲、演奏者や指揮者、演奏会が行われた日付や会場。
やはり記録しておくと、後から振り返るのに便利ですし、振り返る頻度も自ずと増えるのは、いいですね。少しずつ、作曲家の名前や曲のタイトルも覚えてきました(笑)。
また、関連の書籍を読んでみたり。。ほんのわずかではあるのですが、クラシックに一歩近付けた一年だったかな、と自分では思っています。
そんなこんなで、2016年に演奏会で聴いた楽曲は、アンコールも含めると全部で44曲でした。 2016年に演奏会で聴いた曲リスト(ページ下部)
こんなに聴いてたんですね、びっくり!(ほとんど覚えてないけど)
・・・その44曲の中で、特に印象的だったものについて、書き留めておきます。
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■九州交響楽団 天神でクラシック 音楽プロムナードvol.22
ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」
この演奏会は、指揮者が同郷の下野竜也さんということで行ってきました。
九響の「天神でクラシック」シリーズは、演奏前や合間に曲の解説なども聴ける演奏会で、この時は下野さん自ら、とても楽しく味のあるお話をしてくださいました。
下野さんは、クラシックを聴く時に聴衆が自分の「心」を重ねることを否定されないんですね。これは、特に私のような初心者にとっては気持ちが楽になるし、ありがたい言葉であって。そんな下野さんのお話が印象に残った演奏会でした。
■福岡OBフィルハーモニー・オーケストラ 第38回定期
ツェムリンスキー/交響詩『人魚姫』
『人魚姫』が魅力的な曲だと聞き、足を運んだ演奏会です。
実際に生で聴いてみて、とても可愛らしい曲だなあと。今でもたまに聴いてます(Youtubeで)。
■九州交響楽団 第351回定期演奏会
モーツァルト/オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K.297b
この曲は、表題の4つの楽器の奏者が舞台の中央に立ち、演奏を披露してくださいました。
彼らの楽しそうに演奏する姿に、聴衆の心もあたたかな気持ちになれた、そんな演奏会でした。
まさに奏者と聴衆がひとつとなって作り出した空間がそこにはあって、あの日あの時あの場所(←)にいなければ味わうことのできなかった感動。ホールへ足を運び、生で音楽を聴くことの良さがとてもわかりやすい形で現れていましたね。
2016年でも特に忘れられない「体験」の一つとなりました。
■九州交響楽団 第354回定期演奏会
クリスチャン・ロバ/クラリネットのための「SAKURA」より
ソリストにクラリネット奏者のリシャール・ランベールさんを迎えた回。この「SAKURA」は、アンコールでランベールさんが演奏された曲です。
タイトルの通り、日本を意識した楽曲だったのですが、尺八のような演奏方法で音を作り出すとてもユニークな曲でした。
これが忘れられなくて、作曲者であるクリスチャン・ロバをネットで調べてみたところ、どうやらサックスの作曲家として有名な方のようでした。サックス用に「Kabuki」という「SAKURA」と似た曲も作っており、しばらくはその演奏動画をよく見ていました。
■九州交響楽団 第355回定期演奏会
ショスタコーヴィチ/交響曲 第10番
ショスタコーヴィチは20世紀のソ連に生き、政治に翻弄され苦しみながらも数々の名曲を残した著名な作曲家です。
この曲は1953年、スターリンの死後発表された曲になります。スターリンの独裁体制が崩壊し、ソ連ではそれまでより表現の自由が認められるようになり、「雪どけ」とも呼ばれる時代(短いですが)が到来します。
そんな当時の時代背景を(少し)頭において、聴いてみました。特に私が気に入ったのは1楽章で、何かが起こる直前の期待と不安が入り混じったような独特の緊張感がたまらなかったです。
全体的に暗いトーンの1楽章ですが、わずかながら光も見えたように感じたのは、「雪どけ」という言葉が頭の中にあったからかなあ。。
■九州交響楽団 第7回 名曲・午後のオーケストラ
ベートーヴェン/交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
年末の風物詩「第九」ですが、生で聴くのは実に5年振りでした。
5年前は初めての第九(だからまだ2回目ですね、笑)。5年前も感動はしましたが、今回は「ベートーヴェンって凄いなあ」とただただ感激するばかりでした。
「歓喜の歌」と呼ばれる有名な個所は4楽章からですが、その4楽章も1楽章から3楽章までがあってこそ、というのを通して聴くと、強く思います。
そして、その4楽章、私はこの楽章の途中から涙がぽろぽろこぼれて、堪えるのが大変でした。去りゆく年の、一年間溜まっていたあらゆる感情が解き放たれていくようで。感情が涙となって、解放されていきました。
一年の締めくくりに、この曲を、この演奏を聴けて良かったと心から思えた、とっても素晴らしい演奏会でした。
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一昨年から2年間、(頻度はさておき)演奏会に足を運び続けて感じたのは、
オーケストラの演奏を聴く≠クラシック音楽を聴く
ということでした。イコールではなく、むしろ別のものと感じるくらいでした。
「楽器の音色に耳を傾けること」と「クラシック音楽を聴く」ということが、私の中では一つになっていなくて。
何も知らなくても楽しむことはできますけど、それにも限界があり、私のクラシック音楽の聴き方はルールを知らずにスポーツを見ているようなもんだなあと、感じたこともありました。
演奏会に行く回数が増えるほど、心の中にもやもやが増えていくので、どうにかしなきゃと・・・。
音楽に限りませんが、物事を楽しむためには、ある程度の努力と我慢が必要であると改めて感じた2016年でした。(その努力と我慢が苦になるかどうか、というのが問題であってね)
ふー・・
今年も自分のペースで音楽を聴いていきたいと思います。少しでもクラシックに近づけるように!
アクロス福岡シンフォニーホール、3階席からの眺め。
2016年鑑賞リスト(鑑賞順)
モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲 K.621
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」
モーツァルト/交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
モーツァルト/ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ ホ長調 K.261
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」 第1番 作品138
モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.V.364
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98
エルガー/愛のあいさつ 作品12
チャイコフスキー/バレエ音楽「眠りの森の美女」組曲 作品66a
ビゼー/劇音楽「カルメン」 第1組曲・ 第2組曲より
ビゼー/「アルルの女」 第2組曲より“ファランドール”
ワーグナー/舞台神聖祝典劇「パルジファル」 第1幕への前奏曲
イベール/フルート協奏曲
パガニーニ/24のカプリース より 第11番
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」 第2番 作品72a
ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」
ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」(原典版)
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77
イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 より”Les furies”
パガニーニ/カプリス 第16番
ラフマニノフ/交響曲 第3番 イ短調 作品44
J.S.バッハ/「音楽の捧げもの」より 6声のリチェルカーレ(ウェーベルン編)
モーツァルト/オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K.297b
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68
ブラームス/ハンガリー舞曲 第1番
チャイコフスキー/幻想序曲『ロメオとジュリエット』
フォーレ/組曲『ペレアスとメリザンド』
ツェムリンスキー/交響詩『人魚姫』
中村滋延/交響曲 第5番「聖なる旅立ち」(管弦楽のための)
グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ニールセン/交響曲 第4番 「不滅」作品29
ムソルグスキー/歌劇「ホヴァンシチナ」 第1幕への前奏曲「モスクワ川の夜明け」
ブルッフ/チェロと管弦楽のための「コル・ニドライ」作品47
チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲 イ長調 作品33
カサド/無伴奏チェロ組曲 第3楽章
チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調 作品36
サティ=ドビュッシー編/ジムノペディ 第1番・第3番
フランセ/クラリネット協奏曲
クリスチャン・ロバ/クラリネットのための「SAKURA」より
ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調
ショスタコーヴィチ/交響曲 第10番
ベートーヴェン/交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」