森さんは結構率直に自身の考えを語っていました。
犯罪者を「悪」として“普通の人々”から排除するのではなく、犯罪者は普通の人々の中から生まれる。そもそも善悪とは万人に共通なものではなく、ある人にとっては善意でも他の人にとっては悪であったりする。それは「殺人」という行為についてでさえも、そうであるわけなんですね。
メディアに属する人間としての戦争やテロに対する考え等も、亀山さんは聞き出していたのですが、「悪を裁く」のではなく「何故そこに悪が生まれたのか」という思いから犯罪を見つめていく森さんの姿勢には、少し好感が持てました。
加賀さんとの対談でも、物事を善か悪かといったように二者択一で判断してしまう最近の風潮に疑問を呈していました(それは文学にも言えるそうです)。
実際人間社会というのはものすごく複雑で、一筋縄ではいかない。人間だって、一つの言葉で表現できるほど簡単な生き物ではない。
ドストエフスキーはそれを理解し、人間への深い洞察力を持って登場人物達を多角的に描き出している。だから彼の作品は非常に現実的であって、現代に生きる私達にも充分通じ、面白いのだということでした。
『カラマーゾフの兄弟』を読んだことのない人でも楽しめる良い番組でした。
作品も早く読まなければなりませんね(汗)。
ETV特集は侮れませんよね…。って、同番組は観てませんが視点などは硬派で、あまり触れない内容を取り上げてくれますし。
二者択一の価値観、一方を正義でその一方を悪とする風潮は、なんでこんなに強くなってしまったのかとは能く思う部分でもあり…。
NHK特集で「東京裁判」を描いた内容も、そんな感じでした。戦争責任はある人にはあるんですが、ホントに重要だったのは「何故、そうなってしまったのか?」と「今後、世界が同じ過ちを犯さずに済むには?」の境地であったかのよう。
物事って多面的にとらえることが大切だと最近、改めて考えさせられます….
>メロンぱんちさん
私もです。自分の意見が正しいと思いこんでしまうことがどうしてもあって、でも自分の考えはそれとして置いといて、一度はあらゆる角度から見つめなければならないのだと思いました。
NHKはいろいろ問題はありますが、やっぱりいい番組を作ってくれますよね。
「なんだかんだ言っても、やっぱりNHKが一番面白いよ!」
なんて、普段の生活の中ではとても言えませんけど(;^_^A