大空が恋しい~私的空考

久々に小説を更新しました。
移転のためにサイトのことばかり考えていたので、そのため脳が活性化しているのか、自然と小説の言葉も生まれてきました。昨日、一気に書き上げました。

最近本当に心身共に疲れていて(なんでだろう)、昨日も家に帰ってきて思わず涙がこぼれていました。
今回の『羽を伸ばそう』は、その私の心情をそのまま言葉にしたような感じです。
まあ、自分の気持ちを書いているのは毎度のことなんですが…(果たして小説と言えるのか、苦笑)。

疲れが溜まっているのともう一つ、どうも最近、空に飢えているようです。
空というのもただの空ではなく、大空。視界の一面を埋め尽くすような大空です。

福岡に来て、春には一年を迎えるわけですが、やっぱりビルだらけの街で暮らすというのは、私には息苦しいようです。

家は都会のど真ん中、職場も都会のど真ん中。
通勤で通る道の景色は一年中、変わりません。
桜やイチョウ並木が彩りを添える程度で、四季の変化を目で感じられる機会がうんと減りました。

かつて住んでいた場所では、顔を正面に向けて歩いてさえいれば、常に視界に入っていた空も、ここでは顔を真上にあげなければ見えない。
注意を払っていなくても感じられた空の変化が、今は気を使っていなければ感じることができなくなってしまったんです。

もちろん空の変化に気づけなくなってしまったのは、街のせいというよりも、私の心の余裕のなさの表れだと思います。
けれど、寂しいんですよね。
ここに来るまでは、日々の生活の中で

「いつも空が見守ってくれている」

という感覚が常にあったんです。
それが感じられなくなってしまいました。

大きくて、あたたかくて、美しい空が、私は好きなんです。
都会のビルの隙間から見える空にも、また違う味わいがあります。
でも、「電線で区切られた空なんて」という思いが私にはあるんです。

些細なことですが、小学校の頃の話ですが、図工の時間、校外に出て自分たちの住む町を描こうという授業がありました。
私は画用紙の上半分に空を描いていて、見たまんま、そこにある電線も書いていました。
そうしたら先生に言われたんです。

「電線が空を横切ってはいけない」

それは悪い構図だ、と。
その時は「そこに電線があるのに、消すのは変だ」と思いながら、渋々消した記憶がありますが、それ以来、空を描く時や写真に収めるときは、できるだけ電線が空を横切らないようにと努めてきました。

本当に些細なつまらない事かもしれませんが、私にとってはそれが重要で、今ではそう教えてくださった先生に感謝しています。
私が空に救われるのは、そこに何も邪魔するものがないからなんだと気付きました。

たまに、幾重にも重なった電線の影と空を対比させたような写真を見かけますが、実はあれ苦手です。
まるでハサミで切ったものを無理矢理つなげたような空で。
そこに都会という場所の悲しさ、寂しさを表現しているのでしょうが、かえって息苦しさを覚えてしまうのです。

空って、無限ですよね。
空は宇宙に繋がっていて、その宇宙も無限で。
空を見上げれば、その無限の中に苦しみや悲しみ、そして私自身さえも吸い込まれていく。
自然の偉大さに圧倒され、また優しさにも触れられる。
一番身近で、一番遠い存在。それが空のように思います。

環境のせいばかりにしていてはダメだとわかっていても、愚痴をこぼしたくなってしまうこの頃です。
空のように、寛大な心を持たなければ。
本当はいつだって私を見守ってくれているのに、それに気付かないなんて、空に申し訳ないですよね…。

2 comments to “大空が恋しい~私的空考”
  1. 空…。何年前でしょうか、まだ2~3年前なんですが、真夜中にコンビニまで歩いていたとき、ふと大きな丸い月を見て、「あれー! ひさしぶりに月を見たよぉ」と小さな感動をおぼえた事がありました。
    私の場合、空は空でも夜中がストライクなのかなぁ…。なんかゾクゾクっと好奇心を刺激されるるといいますか。狼男じゃあるまいし。
    日中の空は、あんまり意識してません。生活圏が都会ではないんですが、せせこましいところなので、どこどこで道路工事が始まったとか、知らない間にアパートが建ってるとか、生活臭の話になりがちなので。
    短編の方もお邪魔してきました。きれいな空に飢えてますね。変わったのは何でしょう。確かに月を見たとき、自分も、そんな事を感じました。月は変わってないのに何もかもが変わったなぁ…という感慨でしたから、空の様子そのものが変わっているというのは、また別すね。
    日中の空というのは、圧倒的な開放感を感じさせてくれそうですね。で、そう思っていたら、「羽を…」と触れていらっしゃったから、やはり、開放的なイメージで捉えられたいたんだなぁ…と。

  2. 月、いいですね。
    「ゾクゾク」するお気持ち、何となくわかります。
    月に惹かれるのは、その美しさのせいだけでなく、何か遺伝的なものがありそうな気がするんですよね(というか、そうあってほしい!という願望)。
    日中の空もいいですよ~。
    「開放感」仰る通りです。「解放感」もあるかな。
    一瞬だけでもいいから、すべてのわずらわしいことから解き放たれたい、大空を見上げる時はいつもそんな思いです(^_^;。

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