冬、羊、雪国

冬は、空もどこか冷たい。

冬の空
今日は一日曇りでしたが、昨日は少し青空が見えていました。そういえば、昼間の青い空を新しい携帯で撮影するのは初めてかな。
広いような狭いような、近いような遠いような、妙な空です。何となく撮ってしまったために、何が撮りたかったのかわからない写真になってしまいました。

今日は、年末から読んでいた加藤周一『羊の歌』を読了。
先に続編の『続・羊の歌』を読んでいたので、欧州での恋愛模様を表現豊かに描いていた続編と同じものを期待していたら、まったく違っていて少し残念。。
『羊の歌』のほうは加藤さんの幼少時代から始まり、戦前戦中の青春時代が反戦という思想とともに書かれていました。ややイデオロギーが濃く出ていたように感じます。
思っていたより面白く読めました。でもやっぱり『続・羊の歌』のほうが好みかな。

『羊の歌』を読み終わって、新たに読み始めたのは川端康成の『雪国』です。
読むのは何回目になるかなあ。よく覚えていません。
この作品はすでに持っているのですが、たしか古本屋で買ってしまったものでした。本はすべて新品を揃えるようにしているので、新品を買い直しました。

久しぶりの川端さんの世界。やっぱり1ページ目からすぐに引き込まれます。
初めて読んだのが学生の頃で、当時はこの作品をどう捉えればいいのかわかりませんでした。その後1回か2回か読み直しましたが、最初の読後の印象をずっと引きずったままです。

再び読もうと思ったのは、朝日新聞の「百年読書会」という企画(作家の重松清さんがナビゲーターを務め、課題の作品について読者と考えていく連載企画)でこの作品が取り上げられていたからです。
同企画では12月に宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』(好きな小説の一つです)が取り上げられていて、これまではあまり気にしていなかったこの連載を読むようになっていました。そして今月のお題は『雪国』。
重松さんのお話や読者から寄せられたメッセージを読んでいたら、再び読みたくなり、本屋に行きました。
今なら、この作品から何かを感じ取ることができるんじゃないかと思って。

川端さんの作品で好きなものを挙げるとしたら『伊豆の踊子』『掌の小説』『山の音』の3作品。
代表作として真っ先に挙げられる『雪国』も好きになりたいんですよね。こういった気持ちで読み始めるのは間違っているかもしれないけど。
川端さんの作品は全部ではありませんが、そこそこ読んではいます(全集もちょこちょこ読んだ)。でもやはり、好きな作家だからといって彼の作品すべてが好きで、内容を詳細に覚えているほど繰り返し読んだ、というわけではなくて(マニアにはなれない私)、お気に入りの作品を除くと二度読んだ作品はほとんどありません。
その中で、『雪国』は何度か読んでいるんですよね。きっと何かあるんだと思うんです。

残念ながら、ここ福岡は雪国とはほど遠い土地ですけど、きしむような冷たい空気に体を震わせるこの季節に、再びこの作品を読むことになったのも何かの縁。おそらく以前読んだ時は季節なんて関係なく読んでいたから、今回は現実と作品の世界、両方の冬を感じながら読んでみたいと思います。

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