『毎日かあさん』

西原理恵子原作の漫画『毎日かあさん』の実写化作品。
原作は未読です。映画はギャグを織り交ぜながら、夫婦や家族のあり方を見つめる大人向けの作品でした。

いきなり超ネタバレなので注意。

※  ※  ※

私が知っていた事前情報は、

漫画が原作(しかし事実に基づいた漫画であるらしい)。
小泉今日子と永瀬正敏の元夫婦が夫婦を演じる。
西原理恵子の元夫・鴨志田は戦場カメラマンで、戦場での体験がトラウマとなってアルコール依存症になっていた。本人はすでに亡くなっている。

物語の大まかな展開は想像通りで、最後はカモシダの死でもって終わるのですが、結末がわかっていながら最後は泣いてしまいました。
正直言うと、ずっと違和感を覚えながらの鑑賞だったんです(キョンキョンの演技など気になるとこがちょこちょこあった)。それが終盤、カモシダの病状が悪化してからのエンディングまでのスパートが素晴らしく、それまでの違和感を帳消しにしてくれました。
やはり最後は大事ですね。終わりよければすべてよし(?)。

物語は、サイバラ家(サイバラ・2人の子ども・サイバラの母トシエの4人)と、アルコール依存症の治療のため病院と家を行き来する生活を送るカモシダとの日々を描いています。
母と子、父と子、夫婦(+母と娘)という家族関係がメインではありますが、カモシダのアルコール依存症との闘いや子どもたちの冒険談など、個々のエピソードも割としっかり描かれています。

タイトルの「かあさん」ですが、これはサイバラだけを指しているのではありません。
サイバラ家においては、おばあちゃんであるトシエが果たしている役割はとても大きいように思いました。
サイバラが仕事と子育てに集中し、夫として父として不十分な面もあったカモシダに最後まで付き合うことができたのは、おばあちゃんの存在があってこそでした。
母であるトシエに、サイバラは甘えていたように思います。しかし、トシエは時々苦言を呈するものの、基本的には娘の決断を尊重し、彼女と家族を見守り続けます。
サイバラ家の「かあさん」は2人、なんですね。

そして『毎日かあさん』と「毎日」がついているように、この作品は子どもたちとの慌しい日々をたくましく生きる「かあさん」“たち”の物語です。
サイバラやおばあちゃんだけでなく、サイバラの主婦仲間たちも、それぞれに悩みや苦労を抱えているだろうけど、みんなで集まってパーッと騒いで笑って、苦労は少しも感じさせません。
演じるのは鈴木砂羽、柴田理恵、北斗晶ら。登場シーンは少ないものの、彼女たちの明るさやたくましさが物語を支えています。
サイバラ自身のラストのセリフにも表れていますが、彼女の家族の物語ではなく、あくまでも「かあさん」たちの物語なんですね。
私は子持ちではないので、実際に母として生きる女性たちがこの作品をどのように感じるかはわかりませんが、子どもとして見たときに、自分の母親の姿を見つめ直すきっかけになるのでは、と思いました。

ただ、小さな子どもにはちょっと難しい部分もあるかなあ。見に行ったのは休日の昼間で、子ども連れで来ている夫婦が何組もいたんですよね。
でも、たとえ内容がわからなくても、家族で映画を見に行ったという思い出がずっと残るといいですね。
大きくなってからこの映画を思い出して、また見てほしいです。そのときにはきっと感じることがあるはずなので。

『毎日かあさん』 公式サイト
2011年/日本/1時間54分
監督:小林聖太郎
原作:西原理恵子
脚本:真辺克彦
音楽:周防義和
キャスト:小泉今日子、永瀬正敏、矢部光祐、小西舞優、正司照枝、古田新太、大森南朋、田畑智子、光石研、鈴木砂羽、柴田理恵、北斗晶、安藤玉恵、遠山景織子 他

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