2013年上半期に鑑賞した映画(1)~『ライフ・オブ・パイ』『言の葉の庭』など

来週末、毎年楽しみにしているアジアフォーカス・福岡国際映画祭が始まります。
しかし今年は夏頃から映画熱が急激に冷めてきていて、まだチケットも買っていません・・・。

そうそう、実は今年に入って、1度も映画の感想(今年鑑賞した作品の)を書いていないんですよね。映画を全く見ていないというわけではなく、見たらTwitterでちょろっとつぶやいたりはしているのですが、なかなか文章にまとめる気力がわかず。
今になってやっと書く気力と時間と余裕が出てきたので、今年上半期に鑑賞した作品の感想をまとめました。
鑑賞本数は計13本。うーん、ここ数年の中では一番少ないなあ。

前置きが長くなってすみません。
感想は3つに分けました。まずは良かった作品から。

※  ※  ※

ネタバレあります。
( )内は個人的な満足度。★5で満点。
※は鑑賞日と鑑賞した劇場名です。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(★★★★)
(2012年/アメリカ)
トラとの漂流記ということで、緊張感あふれるサバイバル系の話なのかと思っていましたが、過酷な経験を乗り越えた少年のファンタジーでした。前評判の良かった映像はもちろん、物語も素晴らしく、いい意味で裏切られました。

主人公「パイ」が、少年のころに経験したトラとの漂流記を回想する、という形で物語は進みます。
インドで動物園を経営していたパイ一家は、カナダへ移住することになり、動物たちも一緒に航路でカナダへ向かいます。ところが洋上で嵐に遭遇。パイ一家が乗っていた貨物船は転覆し、パイ少年は一人、救命ボートに助かります。ところが、そのボートにはベンガルトラも乗っていた・・・。
トラ以外にも動物は乗っていましたが、殺し合うなどして最終的にはトラと二人(?)きりになり、ここから少年とトラの漂流が始まります。苦難の連続ですが、少年のタフさと美しい映像に、自分も洋上の旅に出たくなりました。

しかし、このパイと少年の漂流記は事実ではなかったことが、ラストに少年の口から語られます(この時少年が語る新たな物語とトラとの漂流記、どちらを信じるかは観客にゆだねられていますが)。
大切な家族を失った悲しみとショックが、少年にこのトラとの物語を作らせたのだと、私は解釈しました。
映画の冒頭で、主人公はこの漂流記について話すことを求められた時に、話すのを躊躇ってなかなか話しだしません。なぜこんなに語りたがらないのかと不思議に思いながら見ていましたが、ラストにその理由が語られたわけです。何歳になっても、目の前で家族を失い、立て続けに起きた過酷な経験の傷は完全には癒えないんですね・・・。
現在のパイは伴侶を得、子供もおり、新しい家族とともに幸せな日々を送っています。それが何より。
ハリウッド映画っぽくなく、アジア映画を見ているような心地よさのある作品でした。

※2月13日鑑賞、UCキャナルシティ13

『言の葉の庭』(★★★★)
(2013年/日本)
靴職人を目指す高校生タカオは、雨が降ると学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描く、という高校生活を送っていた。そんなある日、公園で謎めいた年上の女性ユキノと出会う。2人だけの、雨の日だけの逢瀬が続き、タカオは次第にユキノに恋心を抱くようになるが・・・。

恋愛もの、なのかなあ。個人的には、「青春もの」と言いたい。
まさに青春真っ只中の高校生タカオ。すでに「青春」と言われる年齢は過ぎ、社会に出たものの、まだ捨てられない青春の中でふらふらしているというか落ち着けないでいるユキノ。
美しい雨模様の中、逢瀬を重ねる2人。タカオは確実にユキノに恋心を抱いている。でもユキノは、小出しにされる彼女視点の場面を見ると、精神的な不調が理由で休職し、しかも既婚男性と不倫?をしていて、その相手ともうまくいっているというわけではないよう。タカオに対して好意は抱いているけど、それは「恋」ではない。

タカオ視点では、爽やかでファンタジックな淡い恋模様でした。このまま終わらないでほしい、というような。それが、謎めいていたユキノの正体がわかり、突然生々しい現実に変わります。
これが、現実なんだなあ。
世の中には見なければよかった、聞かなければよかった、ということはたくさんある。
年を重ねるにつれ、言いたくても言えないことも、増える。
ユキノも、現実から目を背けられる、このタカオとの世界に浸っていたかったのではないかと思います。でも、こういうのはいつかは終わっちゃうんですよね。2人の立場が近かったからなおさら。

互いに出会うことで、最終的に2人は新しい一歩を踏み出しました。
こういう言い方で良いのかわからないですけど、タカオはユキノとの出会いで大人への階段を一歩上り、ユキノはやっと大人の世界で生きていく決心がついたのではないかと。
20代は、10代に片足突っ込んだまま大人の世界に飛び込んで、取り返しのつかないことも「大丈夫大丈夫」なんて思って生きて。30を迎える頃に初めて後悔する。やり直したいことばかりが増えてきて、でも、もうどうしようもない。
ユキノを見ながら、そんなことを思いました(ユキノはまだやり直しきくけどね)。
だから、ユキノ視点だったら、もっと直接的に胸が締め付けられただろうと思います。高校生の少年が主人公だったおかげで、泣かなくて済みました。
ただ、タカオの存在は、遠回しに自分が失ったものを思い出させ、見終わって何時間も経ってから、胸がちくちく痛みだしました。見終わった直後は爽やかな作品だと思ったけど、その爽やかさは自分が失ったものだった、と。
見ている時にはそこまで大きく心を揺さぶられることはなかったんですけどね。不思議ですね。

絵は評判通り綺麗でした。
ちょうど見たのは6月だったのですが、今年の梅雨はなかなか雨が降らなかったので、雨音がなんとなく新鮮で、心地よかったです。

※6月18日鑑賞、TOHOシネマズ天神

『あなたが寝てる間に…』(★★★★)
(1995年/アメリカ)
昨年の話ですが、弟に「クリスマスにおすすめの映画ない?」と聞かれ、思いついた作品を話したところ、弟もすべて見ていました。そこで、ググってみたらこの作品がヒット。「こんなのあるよー」とすすめたら、鑑賞した弟が「めっちゃよかった。マジおすすめ。姉ちゃんも見て」。それから数か月して、やっと、見ました。

いいですね。ドシでダサいけど、どこか憎めない愛すべき人達のラブストーリー。
恋愛だけでなく、ファミリーものとしてもGOOD!さまざまな愛が詰まった作品です。1995年ともう20年近く前の作品ですが、今も愛され続ける理由がわかります。
ご都合主義?そこがいいのよ、だからいいのよ、だから見たいのよ!

主演はサンドラ・ブロックとビル・プルマン。見終わってこの2人の年を調べてみたら、主演のサンドラ・ブロックは今や50歳手前、ビル・プルマンは還暦間近。
20年近く前とは言っても、2人とも結構いい年なんですよね。でも、それが良かった。若すぎないのが、いいんですよね。

※3月8日鑑賞、DVD

『めぐりあう時間たち』(★★★★★)
(2003年/アメリカ)
私の人生の1本。もう何度目の鑑賞になるかわからないですが、今回は冒頭の朝のシーンから涙ぐんでしまい、最後までほとんど泣いてるような感じでした。
いまだに、この作品を自分の言葉で語ることができずにいます。(いつになったら感想を書けるのか・・・)
この作品を観ると、大切な人達に優しくしなきゃ、と思います。

※3月8日鑑賞、DVD

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続きはこちら↓
2013年上半期に鑑賞した映画(2)
2013年上半期に鑑賞した映画(3)

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