だいぶ遅くなってしまいましたが…アジアフォーカスの感想を。
9月12日から21日にまで開催された『アジアフォーカス・福岡国際映画祭2014』。今年も個性豊かな作品を鑑賞でき、充実した日程となりました。
鑑賞本数は計16本(15作品)。
昨年の鑑賞記録は地域別に書いたんですけど、今年もそんな感じで。。
まずは、台湾映画から。今年は特集が組まれ、最も上映作品の多かったのが台湾映画でした。
そのうち5作を鑑賞しましたが、うち2作は途中で寝てしまったので実質3作ですね(汗)。
※ネタバレあり。
※ ※ ※
( )内の★は個人的満足度。5点満点です。観客賞に投票した作品は、投票した点数を書いています。
※写真がある作品が観客賞の対象となる公式招待作品です。
『ロマンス狂想曲』 (★★★★)
英題:Apolitical Romance
製作国/制作年:台湾/2013年
上映時間:90分
監督:シエ・チュンイー
出演:チャン・シューハオ、ホアン・ルー 他
台湾と中国大陸のむずかしい関係を、2人の若い男女の出会いを通して描いた作品。
気の強い大陸の女性。
頼りない台湾の男性。
台湾では一般的にこのように思われているそうで、このステレオタイプに嵌めた男女のドタバタ劇が見所。ただ、台湾と大陸の政治的な関係を皮肉るユーモアがところどころに散りばめられ、テンポの良いライトな恋愛映画では終わらず、ピリッとスパイスのきいた見応えのある作品になっています。
結ばれずに終わる2人の関係は、一筋縄ではいかない両国の関係を象徴しているかのようです。
話は、ヒロインの祖母の「初恋の人探し」を軸に進むのですが、この「初恋の人探し」の中で、若い2人は、戦争をきっかけに台湾と大陸の間で引き裂かれてきた人々に出会います。結局「初恋の人」は見つからないのですが、出会った人々の生き様を目の当たりにした2人が、そこから何かを掴み、一歩前へと踏み出すという結末は、台湾と大陸の関係が前へ進むようにとの希望も込められていたかもしれません。
主人公の台湾男性が大のガンダムファンという設定だったこともあり、上映後のQ&Aではゲストとして来福していた監督と主演俳優に「日本のアニメで好きなものはありますか」との質問が。
そこで主演のシャン・チューハオさんが、突然拳を高々と上げて「ワンピース!」。なんと大のワンピースファンだということで(お兄さんの彼女が日本人で、彼女が台湾に来るたびにワンピースグッズを買ってきてくれるという小話も(笑))、突然「僕とワンピース」について熱く語りだしたのには笑ってしまいました(笑)。
映画祭会場のキャナルシティにはジャンプ作品のグッズを扱ったショップがあるんですが、行かれたんでしょうかね。。気になる~。
『セデック・バレ第一部』 (★★)
『セデック・バレ第二部』 (★★★★)
制作国/制作年:2011年/台湾
上映時間:第一部144分・第二部132分 計276分
監督:ウェイ・ダーション
出演:リン・チンタイ、ダーチン、安藤政信、マー・ジーシアン 他
1930年、日本統治下の台湾で起きた原住民族による武装蜂起「霧社事件」を描いた歴史大作。
第一部『太陽旗』では苦しい生活を強いられてきたセデック族の人々が部族の誇りをかけて武装蜂起するまでが描かれ、第二部『虹の橋』では、日本の警察と日本軍による報復、憎しみや家族愛といった感情が交錯する中でセデック族の人々を襲う悲劇が描かれています。
セデック族の描き方にリアリティが欠けるというか(どこまで忠実なのかはわからないですけど…)、どうも納得できなくて、第一部は全く楽しめませんでした。
第二部では、セデック族でありながら日本人としても生きる人々の苦悩などが丁寧に描かれ、見応えがありました。
抗日暴動がテーマということで話題になった作品なんですが、原始的な伝統文化と近代文明の対立、という一面のほうが大きなテーマかもしれません。この辺りは、この後に鑑賞したインドネシアのリリ・リザ監督『ジャングル・スクール』でも取り上げられたテーマですが、同じテーマを違う視点で描いた作品を見比べることができるというのも、映画祭の魅力ですね。
そして見逃せないのが、セデック族の死生観(日本の特攻隊を彷彿とさせる)です。「死んで何が残るんだ?」との問いに「誇りだ」という答えが返ってくるんですから。この価値観が受け入れられないと、最後まで見るのはちょっと辛いかな。
しかし、そのことを美化して描いているという印象は受けませんでした。終盤子どもたちが目の色を変えて日本兵を殺そうと躍起になる姿には、戦争の愚かさというものを改めて感じました。戦争ものなので当然ですが、虚しさだけが残る作品でした。
『天空からの招待状』 (★★)
制作国/制作年:台湾/2013年
上映時間:93分
監督:チー・ポーリン
出演(ナレーション):ウー・ニエンジェン
全編空撮で台湾の今を捉えたドキュメンタリー映画。台湾の自然を美しい映像で堪能できるのかと期待していたら、安っぽい環境問題啓発映画で肩透かし食らった感じ。映像も特別きれいというわけではなく、映像的にも内容的にもスクリーンで見るほどではありませんでした。
空から撮った映像を繋げただけって感じなので、退屈なんですね。アングルとか構図にも工夫はなく。
一番びっくりしたのは音楽で、ドキュメンタリーでここまでうるさくするのかと。その音楽担当は『セデック・バレ』と同じ人なんですね~(↑では書いてないですが、『セデック・バレ』の音楽も過剰でした)。前方の席で鑑賞したのですが、音が大きすぎてスピーカーがガタガタ震えていて(これは劇場の設定も悪かったのかもしれないですけど)、気になって集中できませんでした。
『時の流れの中で』 (?)
制作国/制作年:台湾/2004年
上映時間:105分
所蔵:國立故宮博物院
監督:チェン・ウェンタン
出演:レオン・ダイ、グイ・ルンメイ 他
歴史的文物に惹かれる女性チン、歴史が人生の研究者ハン、祖父の思いを抱いて日本から来たタオ。台北 國立故宮博物院にある蘇東坡の名書「寒食帖」を接点に、 三人の若者が誰もが抱える人生における”欠けた場所”を捜し求める。生きることはひとつひとつのプロセスの積み重ねだという事が静謐な世界観で語られ、アジア人である事を誇りに思える映画。
(↑アジア・フォーカスの公式サイトからそのまま引用)
すみません。寝ちゃいました。ほとんど覚えてないです。
『山猪(いのしし)温泉』 (?)
英題:The Boar King
製作国/制作年:台湾/2014年
上映時間:102分
監督:クオ・チェンティ
出演:ルー・イーチン、ツァイ・チェンナン、ウー・イーティン、スー・ダー 他
台風により、夫を亡くし、営んでいたホテルも被害を受けて絶望する女性とその娘が立ち直っていく姿を、山間部の美しい自然と共に描いた作品。
これも途中で寝ちゃったので感想は書けないのですが、途中まで見ていて、役者が良かったなあという印象はあります。
娘役のウー・イーティンさんは堀北真希にちょっと似ていて、可愛かったです。
※ ※ ※
映画祭から1か月近く経ってしまい、情報としては何の新鮮味もないものとなってしまいましたが…。
初めて参加した2010年から、(内容の良し悪しはともかく)感想は欠かさず書いているので、今年もがんばって書きます!
今年は台湾映画特集として、公式招待作品も含めて計8作品の台湾映画が上映されました。台湾映画はアジアフォーカスでも毎年人気がありますよね。割とライトで見やすい作品が多いような印象を受けます。
今年はアジアフォーカスだけでなく、九州国立博物館でも10月7日から11月30日まで、『台北 國立故宮博物院 – 神品至宝 -』が開催されるなど、福岡は台湾プッシュイヤーのよう。
この國立故宮博物院の展示会、今回は九博と東京国立博物館でのみの開催らしいので、見に行きたいですが…。