『機動警察パトレイバー2 the Movie』

近未来の東京を舞台に、人間型作業ロボット「レイバー」とそれを取り巻く人々の人間模様を描いた、言わずと知れたアニメ史に残る大ヒット作品『機動警察パトレイバー』。その劇場版2作目。

※  ※  ※

以下、ネタバレあり。

ストーリーは映画.comより。

2002年、突如として横浜ベイブリッジが爆破される事件が発生。自衛隊機によるものと報道されるが、該当する機体は存在しなかった。同様の不審な事件が都内で相次ぎ、警察と自衛隊の対立が深刻化。事態を重くみた政府は実働部隊を治安出動させ、東京は事実上の戦争状態に置かれてしまう。警視庁特車二課第2小隊隊長の後藤らは、東京に戦争を再現させてみせたテロリストの正体とその真相を追う。

パトレイバーがアニメ史に残した業績や押井守監督やら何やら語らなければならないことはいろいろあるんでしょうけど、語る知識も何もないので。
私が何より言いたいのは、

後藤隊長!(どこまでもあなたに付いて行きたい)

これだけです。(後藤さん、かっこいいよ~)

この作品は後藤隊長を軸にしたストーリーになっていて、「平和とは何か」という問題提起と同時に、切ない大人の恋愛も描いています。
同僚女性への特別な感情を心に秘めながら、彼女の思いと人生を尊重して行動する後藤さんの姿に惚れました。
昔から後藤さんというキャラクターは好きでしたけど、こんなにかっこいい人だったとは!

語弊があるかもしれませんが、この作品はアニメっぽくないというか、実写を見ているような錯覚を覚えるカメラワークで、それがとても目を引きました。
キャラクター達の視線とか表情とか、実写の俳優のようで。特に強く印象に残ったシーンが2つあります。

1つ目は、榊さん宅での会話。
このシーンでは、後藤さん・南雲さん・榊さんの3人が登場。会話自体は後藤さんと榊さんの間でのみ行われていて、南雲さんは無言で2人に背中を向けているだけなんですけど、後藤さんは榊さんの質問に答えるという形で、南雲さんの背中をしっかりと見つめて彼女に語りかけてるんですね。
カメラ(アニメだから本当にカメラがあるわけではないんですけど)は南雲さんを手前に置き、バックの後藤さんにピントを合わせてる。その視線が、言葉の裏に隠された彼の心境を物語っているんです。
キャラクターにセリフとして語らせるのではなく、こういう映像でしっかりと心理描写を表現しているところに、感銘を受けました。

2つ目はラスト、南雲さんがかつての恋人と再会するシーン。2人が指を絡める場面を、後藤さんが上空のヘリから見つめている。
もうね、いやあね。なんなんですかねえ。。

※  ※  ※

この作品、表向きは、平和ボケした日本国民に喝をいれる、みたいな話なんですけど(正直それはあまり興味はなくて)、サイドストーリーで描かれる後藤さんと南雲さんの行方のほうが見応えありました。
ラブシーンなんて1つもないのに、何度もドキドキしてしまって。。
パトレイバーのアニメは過去に見たことありましたけど、こういう人間ドラマをきっちり描くアニメだとは思っていませんでした(子どもだったからわからなかったってのもあるんでしょうけど)。

白か黒か、二者択一でしか物を語らない人が少なくない今、こういう曖昧というかグレー色な関係性を描いた作品を見ると、ホッとします。
後藤さんと南雲さんの関係だけでなく、南雲さんと元恋人とか、周囲の人々のちょっとした一言まで。
これが人間だから。

20年も前の作品ですが、全く古臭さを感じさせません。
暇つぶしにとネットで見たのですが、想像以上の面白さで、画面に釘付けの2時間でした。

パトレイバー2
『機動警察パトレイバー2 the Movie』
1993年/日本/113分
監督:押井守
キャスト(声の出演):冨永みーな、古川登志夫、大林隆之介、榊原良子 他
※2月6日、Huluにて鑑賞。

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