4月22日にアクロス福岡の福岡シンフォニーホールで開催された、ヴァイオリニスト チョン・キョンファのリサイタルに行ってきました。
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備忘録ということで、ざっくり書きます。
ど素人の感想なので、温かい目で読んでやってください。。
今回のリサイタルは、チョン・キョンファと、長年彼女と組んでいるというケヴィン・ブラナーのピアノ伴奏によるものでした。
クラシック音楽に関しては、毎度毎度演奏者も曲もほとんど知らずにコンサートに足を運んでいる私です。当然のように今回も両者のことは知らず。チョン・キョンファの凄さは後日ネットで知りました^^;
目的はベートーヴェンの『クロイツェル』。
今年はこの『クロイツェル』を聴きに行くと早い段階で決めていたので、年が明けてからトルストイの『クロイツェル・ソナタ』を読み直したりして(笑)、気持ちを高めていました。
しかし、この日のハイライトは『クロイツェル』ではありませんでした。。
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御年67歳のチョン・キョンファ。
2階席からの鑑賞でしたが、遠くから見ると、舞台の真ん中にテクテク向かっていく姿は韓国のおばちゃん^^;
とっても小柄で、パワフルな演奏とのギャップに驚きました。
前半はフォーレとグリーグのヴァイオリン・ソナタでした。
フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ長調 Op.13
この曲はリサイタルに行く前に予習で聴いていたのですが、その時もいまいちピンとこず、生で聴いてもやっぱり響くものがありませんでした。
私がよくわからないだけかなあとは思うものの、心なしか演奏も気持ちが乗っていなかったように感じたのですが…。
グリーグ/ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 Op.45
そんなぼんやりとした印象のまま1曲目は終わりましたが、2曲目が始まるとそのけだるい空気は一蹴されました。
ギアを上げるとでも言いますか(←音楽で使ってもいい?)。
楽曲自体にも力があってとても良かったのですが、チョン・キョンファの魅力はこれなんだなあと、初めて彼女を見る私にも感じられる演奏でした。
この曲で私のテンションも一気に上がりました。
~休憩~
休憩は長めの20分。
アクロス福岡でのコンサートの際は、休憩時間には必ずドリンクコーナーでホットコーヒーをいただいてます。
コーヒーは基本的にブラックを飲むんですが、この時だけはいつもお砂糖とミルクを入れて飲んでます。このコーヒーがとっても美味しいんですよ。
コンサートの合間に飲むコーヒーほど美味しいコーヒーを私は知りません(笑)。
そして後半に突入。
目的のベートーヴェンの前に演奏された次の曲が、この日の白眉とも言うべき演奏でした。
ウェーベルン/ヴァイオリンとピアノのための4つの小品
パンフレットによると、ウェーベルンは無調音楽のスタイルを確立し、「極小形式」と呼ばれるきわめて凝縮された作風を追求した作曲家のようです。
今回演奏されたこの曲も、演奏時間は5分にも満たないくらいとっても短い曲。無駄をそぎ落とし、究極の一音を追求したともいうような楽曲で、観客にも極度の集中力を要求し、一瞬も気を抜けませんでした。
そして、演奏する2人の音はもちろん、彼女らが弦を弾く、鍵盤を叩く指などの肉体の動き一つ一つもまた、作品の一部として存在しているんですね。チョン・キョンファは他の曲でも結構激しく動いていたんですけど、この曲では彼女の動きはダンス(コンテンポラリーとかそんなの)のようにも見え、音楽を聴いているというよりは舞台芸術を見ているという、そんな感覚でした。
今までこんな曲を聴いたこと・見たことはなかったので、とても新鮮で、未知のものに出会えた喜びでしばらく放心状態でした。
曲が終わってフライング気味に「ブラボー」を叫んじゃったおじさまがいらして。フライングブラボーはあまり良いとはされませんけど、そのおじさまの気持ちわかるなあと。私もすごく興奮しましたもん。声を上げたかったです。
次の『クロイツェル』が物足りなく感じてしまったくらいに、この日はこの演奏に心を持っていかれました。
ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47 『クロイツェル』
そして、今回の目的でもあった『クロイツェル』。
生で聴くのも2回目になりますし、特に第一楽章は最近ずっと聴いていたので、正直なところ新しい感動はありませんでした。
私がこの曲を好きになったきっかけはトルストイの『クロイツェル・ソナタ』ですので、どうしてもトルストイの小説から離れることができず、演奏中も小説のことを思いながら聴いていました。。
トルストイはベートーヴェンのこの曲に触発され小説を書きましたが、そのトルストイの小説に感銘を受け、ヤナーチェクという作曲家が『クロイツェル・ソナタ』という曲を書いています。
このヤナーチェクの曲も最近聴いてみました。
ベートーヴェンのソナタが心の奥底に隠れた感情を激しく呼び起こすものなら、ヤナーチェクのメロディは嫉妬に苦しむ夫の心情をドラマ仕立てに描いているような感じ。小説のストーリーに沿っているらしく、小説のシーンが自然と目に浮かんでくる曲でした。
名作が名作を生む。
そのいずれをも味わえるのは、後世に生きる者の特権ですね。ありがたいことです。
この曲の演奏中に、チョン・キョンファが(理由はわからないのですが)演奏を一時中断して、ドキッとしました。
ただ、この中断でいい緊張感が生まれ、その後の演奏はかえって良かったように思いました。(お客さんの気も引き締まったって感じで)
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お客さんの入りは決していいとは言えなかったのですが、終わりに近づくにつれ、会場に一体感が生まれ、最後は一部スタンディングオベーションも見られました。
アンコールは3曲。
J.S.バッハ/ヴァイオリン・ソナタ第4番からラルゴ
ブラームス/ハンガリー舞曲 第1番
エルガー/愛のあいさつ
最後のエルガー『愛のあいさつ』の優しい音色には、うるっときました。
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ここ数年全くコンサートに行けていなかったので、今年は月1ペースで行けるよう、年の始めに計画を立てています。次は5月22日に行われる九響の定期演奏会に行く予定です。
ただ、計画に入れている以外の演奏会でも気になるのがいくつかあって、いま悩んでいるところです。
今年は映画の感想などできるだけ記録に残そうと思って、ぼちぼち書いているのですが、コンサートの感想も少しずつ書いていきたいと思います。
拙い感想ですみません^^;
ではでは。
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チョン・キョンファ ヴァイオリンリサイタル
2015年4月22日(水)/アクロス福岡シンフォニーホール
ヴァイオリン:チョン・キョンファ
ピアノ:ケヴィン・ケナー
【曲目】
フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ長調 Op.13
グリーグ/ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 Op.45
ウェーベルン/ヴァイオリンとピアノのための4つの小品
ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47 『クロイツェル』
素敵な音楽との出合いは突然に来る事もありますよね、ヴェーベルンはマーラーの次の世代の作曲家で同じころに活躍したシェーンベルク、ベルクと共に近代から現代への音楽の流れを作った一人です。今回聴かれた4つの小品もだけど、ヴェーベルンの作品は簡素で極限まで削ってあるけど、音楽の質感はすごく濃密という、不思議な感じですね・・・
なかなか実演で聴く機会がないので、すごく貴重な経験でしたね♪
>Masahikoさん
>簡素で極限まで削ってあるけど、音楽の質感はすごく濃密という
そうなんですよね、ぎゅっと凝縮されたような…短い時間でしたけどとても濃密なひと時でした。
また一つ、音楽の奥深さと楽しさを知ることができて、とてもいい経験となりました^^