『義兄弟』

韓国映画『義兄弟』。
北朝鮮工作員の若者と、彼を追いかける国家情報員の中年男性。苦しい現実を背負いながらも、必死に生き抜こうとする二人の交流を描いた感動作。
迫力満点のアクションとユーモアたっぷりの演出。ハラハラドキドキ、笑いあり涙ありの極上エンタメ作品でした。

以下、ネタバレは少しだけ。

※  ※  ※

ストーリーはシネマ・トゥデイより。

ストーリー:北朝鮮の工作員として韓国に潜入していたジウォン(カン・ドンウォン)は、“影”と呼ばれる暗殺者(チョン・グックァン)と共にある指令を受ける。彼らは、国家の裏切り者である金正日の身内を葬ることに成功するが、国家情報員ハンギュ(ソン・ガンホ)に計画をかぎ付けられ包囲される。ジウォンは何とか逃げ切るが、その後再び長い潜伏生活を送ることになる。

冒頭から、目を背けたくなるような血塗れの銃撃戦と度肝を抜くカーアクション。
北朝鮮工作員VS韓国国家情報員ということで、これからどんな壮絶な殺し合いが繰り広げられるのだろうと、やや緊張しての鑑賞スタートとなりましたが、胸の痛い現実の中にもユーモアと優しさが散りばめられていて、とても楽しく鑑賞できました。

デリケートな問題を取り扱っているので、ここまでコメディ要素を取り入れていることにちょっと驚きました。
しかしそれは問題を軽く見ているというわけではなく、特殊な立場に置かれた人間だって平穏で幸せな暮らしをしたいんだという、人間としての本能的な願望を描いているのだと思いました。
生真面目な若者(ジウォン:カン・ドンウォン)とだらしのないオッチャン(ハンギュ:ソン・ガンホ)が、国と国との争いに巻き込まれ、血に手を染めることの悲しさ、とでも言いましょうか。

賛否両論あるのはそのあたりなのかなあ。
特にラスト。出来すぎて生ぬるく、私も「え?」と思ってしまいました。あまりにもうまく行きすぎだし、それまで流れた血の多さを考えると納得しかねる部分もある。
しかしそれも、その展開に喜びを見せたハンギュの「HAHA!」という笑顔を見ると、「ま、いっか。これもありよね」と思ってしまいました。

……そうです、この映画の一番の魅力は、ハンギュを演じたソン・ガンホなんです。
不細工な(失礼)ただのオッチャン(←愛を込めて呼んでいます)なのですが、どうしてこうも魅力的なのか。
汚いお尻を一度ならず二度もスクリーンに晒し、昨日履いた靴下の臭いを嗅いで「うん、まだいける」と再び履くようなオッチャンなのに!!

韓国映画初心者の初心者である私は、このソン・ガンホという俳優の作品は初めてだったのですが、この作品であっという間に好きになってしまいました。
演技派俳優として有名なようです。
「彼の作品もっと見てみたい!」と思わずにはいられない俳優さんです(DVD借りてこようかな)。

生真面目で優しさも秘めた北朝鮮工作員ジウォンを演じたのは、若手俳優のカン・ドンウォン。
切れ長の目がとても印象的です。
表情豊かなハンギュと違い、ポーカーフェイスを貫き、何を考えているかわからないところもあるのですが、それゆえ、笑ったり泣いたり、時折見せる感情の揺れにグッと心を掴まれました。
ソン・ガンホがやはり圧倒的な存在感を見せるのですが、それに負けてしまうこともなかったと思います。
アクションシーンも見所です。

無表情といえば、北朝鮮の暗殺者「影」(チョン・グックァン)。残忍、極悪非道。
ロボットのように正確無比に動き、確実に相手を仕留めるのですが、肉体だけでなく精神までもロボット化したような冷徹さ。おぞましいとはこのことかと。
彼も北朝鮮が作り出した悲しみの一つ、なのかもしれません。彼の出演シーンは目を背けたくなるばかりでした。

この作品を一言で表すならば、「喜怒哀楽をすべて使って楽しむべし」かな。
韓国と北朝鮮の関係について初歩的な知識があれば、十分に楽しめると思います。
興味のある方はぜひぜひ!!

『義兄弟』 (英題:SECRET REUNION) 公式サイト
2010年/韓国/1時間56分 
監督・脚本:チャン・フン
脚本:チャン・ミンソク
撮影:イ・モゲ
キャスト:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、チョン・グックァン 他

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