三拍子で空を飛ぶ

昨日はずっとこの曲を聴いていました。
どうしてこの曲を選んだのかわからないけれど、どこかへ飛んでいきたい思いでもあったのだろうか。

『この空を飛べたら』
作詞・作曲/中島みゆき

空を飛ぼうなんて 悲しい話を
いつまで考えているのさ
あの人が突然 戻ったらなんて
いつまで考えているのさ

暗い土の上に 叩きつけられても
こりもせずに 空を見ている
凍るような声で 別れを言われても
こりもせずに 信じてる 信じてる

ああ 人はむかしむかし
鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい

飛べるはずのない空 みんなわかっていて
今日も走ってゆく 走ってく
戻らないあの人 私わかっていて
今日も待っている 待っている

この空を飛べたら 冷たいあの人も
やさしくなるような 気がして
この空を飛べたら 消えた何もかもが
帰ってくるようで 走るよ

ああ 人はむかしむかし
鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい

ああ 人はむかしむかし
鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい

優しい歌声と歌詞の刺々しさのギャップに違和感を覚えて調べてみたら、この曲は1978年に作られたものでした(しかも加藤登紀子さんに提供された曲だったみたいだ)。
78年、みゆきさんがまだ26歳の頃です(今の私と一緒だ)。どおりで、歌詞が妙に若いと思った。
今のみゆきさん(といっても全部を知っているわけではないけど)の歌詞は、人間に対する愛情に溢れているし、この動画もそうだけど歌声もすべてを包み込むような優しさがある。それなのに歌詞は妙に恨み節っぽいから、なんか妙な感じがしていました。
そうか、そうだったのか。みゆきさんも若い頃があったのか……。
男に振られたくらいで「死にたい」願望に駆られるような絶望を感じていた頃が、みゆきさんにもあったのだろうか。何だか想像がつかない。
でも、あれを全くの想像で書いていたのだとしたら、それはそれで凄すぎる。

Youtubeで加藤登紀子さんが歌っているものや、当時のみゆきさんが歌っているものを聴いたけれど、あまりにも暗すぎて途中で聴くのをやめてしまいました。この優しい歌声ばかりずっと聴いていたから、この調子じゃないと受け付けられなくなっているみたいです。
何より、私は今優しさに包まれたいという気持ちが強いから、あんな暗い調子だとますます気が滅入ってしまって、おかしくなりそう(笑)。
それにしても、人ってこんなに変わるものなんですね。こんな風に優しく歌えるようになれるのなら、年を重ねることも悪くない気がする。

話変わって、この『この空を飛べたら』、どうしてこんなに心地良く響くのだろうと思っていたのですが、よく聴いてみると三拍子なんですね。
なんですぐに気付かなかったんだろう、と思いましたが、そういえば私は拍をとるのが苦手でした(汗)。偶数か奇数かの違いしかわからない(笑)。二拍と四拍の違いとか、3/4と6/8の違いとか、聴いているだけではさっぱりわかりません。10年もピアノやってたのにぃー!(泣)

しかししかし、三拍子(6/8も含まれる)は好きなリズムなんです。聴いていて気持ちの良いリズムだから、これは人間の鼓動に合うとか何とか特別な理由があるのかもしれない、と勝手に思い調べてみたら、日本にはもともと三拍子は存在していなかった(大正期に入ってきたそう)という、気になる記述を発見。

そそそ、そうだったのか!!

そういえば、歌謡曲やポップスなんかも三拍子のものはあまり聴きません。この曲の三拍子が気になったのも、三拍子が珍しかったからでもありますし。こちらによると、民謡にも三拍子はほとんどないようです。
また、こんな記事も見つけました。
『3拍子』-鎌倉新フルート合奏団「合奏団たより」より

3拍子は一般的には騎馬民族のリズムであると言われている。たとえば小島美子によれば、馬はパッカパッカ走るリズムから3拍子が生まれたとしている。また予備的な弾みが必要で踏み出したとき強く、浮いている時弱く強弱のリズムができる。クラシックは基本的にこの遊牧民のリズムで成り立っている。一方農耕民族はゆっくりした動きが中心で、歩くことが基本であるのでリズムの弱い2拍子であるとしている。また海洋民族は波にゆられることから、スウィング性があるといっている。

きちんとした根拠のある話ではないらしいですが、面白い考察ですよね。確かに日本人は農耕民族だ。
この文中に出てくる小島美子(こじまとみこ)さんという方、知らなかったので調べてみたら、民族音楽の研究をされている方のようです。『音楽からみた日本人』 (NHKライブラリー)という本も書かれているみたい。ちょっと面白そう。

他にも、作家のなかにし礼さんが『三拍子の魔力』という本で三拍子について書かれているようです。先月にはNHKの『知る楽』という番組でこの話をされていたようで、気付くのがちょっと遅かったです。見たかったなあ。再放送も終わっているし、うーん、残念。。

ちなみに、「日本には三三七拍子があるじゃないかー!」と思ったそこのあなた(私も思った)。
ふふふ、実は三三七拍子の三拍子は三拍子ではないらしいです。
『日本人が「三拍子」を上手になるには!?』-音楽家・ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

「三三七拍子」といっても、よく音を解析してみますと、

ぱん ぱん ぱん (休符)
ぱん ぱん ぱん (休符)
ぱん ぱん ぱん ぱん  ぱん ぱん ぱん (休符)

・・・と以上のように、
実のリズムは見事な「四拍子」であることが分かります。

……確かに、見事な四拍子です。
そうだったのか、「三」ってただ手を三回叩くだけのことだったのかー!

Googleで「三拍子 歌謡曲」とか、適当にキーワード入れて検索して上位に出たサイトさんをちょこちょこっと眺めてみただけなのですが、なかなか面白い発見でした。
本当は、最初に曲紹介をし、みゆきさんのことをちらっと書いて、最後に空の写真を載せちゃったりなんかしてしんみり終えるはずだったのに(笑)、ただのうんちくエントリになってしまいました(^^;
でも勉強になりました。気になったら何でも調べてみるものですね。うんうん。

4 comments to “三拍子で空を飛ぶ”
  1. 私もピアノを10年以上習いましたが、音痴とリズム痴でしたがー
    リズム痴はいまだに治ってません。
    ワルツ、マズルカは あなた ダメね。と先生に言われてました。
    でも1曲だけ、ワルツ上手く弾けて、先生がグルグルグルグル2重○くれたの思い出しました。今日はそれを弾いてみます。
    3拍子が上手くなる方法 あるんですね。
    まだまだこれからかも。と楽しみになりました。

  2. >龍の目さん
    ワルツ、どうでしたか?
    ピアノがお手元にあるんですね。羨ましいです。
    私はピアノに触れなくなって、もう10年近くになります。でも、今でも鍵盤が恋しくなる時があります。
    いつか電子ピアノを購入するのが夢です。私が小学生の頃に買ってもらった電子ピアノは30万近くしましたが、今ではだいぶ安くなっているようなので。

  3. ピアノに拒否されました。鍵盤はこんなに?と思うほど硬くて私の腕も体も全部ピアノに跳ね返されました。
    たまにちょっと弾いたくらいで上手くいくはずないでしょ。
    まるで先生のお言葉のようでした。
    ピアノはアップライト中古です。二階に上げる時分解し組み立てかわいそうな目にあわせました。置いてある所は床が傾いてます。電子ピアノなら重くないしヘッドフォンで夜中も弾けて良さそうですね。

  4. >龍の目さん
    そうでしたか~。
    私も何年か前、楽器屋さんでピアノの前に座ったら指が思うように動かずにショックを受けたことがありました。さらにショックだったのが、楽譜を読めなくなっていたことです。
    もともと上手ではなかったのですが、中学生(ピアノは高校受験を理由にやめたんです)の頃のレベルまで戻すのにも相当時間がかかりそうです。。早く電子ピアノをゲットしたいです!
    ピアノはアップライトですか。ていうか、ピアノって分解できるんですね!知らなかったです(^^;

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