以前、「人生の応援歌」として井上陽水さんの『夢の中へ』と、ウルフルズの『ええねん』について書いたことがありました。
もう3年から5年前の記事ですが、今でもこの気持ちは変わりません。
ただ、「応援歌」とは違うけど、励まされたり、救われたりする歌は他にもあって。今日は、その一つについて。
※ ※ ※
まちがいだけを数えていても人の心はなぞれはしない
教えておくれ止まない雨よ本当は誰を探しているのあぁ この果てない空の下で
何ひとつまちがわない人がいるだろうか
傷つきあったさよならだけが形に残るものだとしても
たしかにあったあのときめきがいつか二人を癒してくれるあぁ この果てない空の下で
独りでも寂しくない人がいるだろうか
中島みゆきさんの『たかが愛』です。引用した部分は、AメロとBメロの部分(上:1番、下:2番)。
たかが愛、されど愛。そんなことを歌った歌ですが、特に引用した箇所を聴くと涙があふれてしまいます。
1970年代から第一線で活躍し続け、数多くの名曲を残している中島みゆきさんなので、ここ10年、20年くらいの曲をちょろっと聴いただけの私が彼女について語るのも何だか恥ずかしいのですが、初めて聴いた時にこれほど強烈に琴線に触れる言葉とメロディを書き続ける歌手というのも、そういないのではないかと思います。彼女の曲に、どれほど助けられでしょうか。
この『たかが愛』は、テレビ朝日系ドラマ『はみだし刑事情熱系』の主題歌として使われていました。初めて聴いたのはそのドラマで流れた時でしたが、当時から心に響くものがありました(当時は主にメロディに惹かれていましたが)。
ドラマはシリーズ化された人気作品で、1996年から2004年にかけて放映されています。この曲が主題歌だったのはシリーズ1作目(1996~1997年)。もう16年も前になります。私が中学生の時。これまで幾度となく聴いていますが、そのたびに涙ぐんでいます。
いつだって、心にそっと触れてくれる。そんな曲です。
あぁ この果てない空の下で
何ひとつまちがわない人がいるだろうか
人は誰でも、間違いや過ちを犯してしまうものだと思います。
どうしても消せない後ろめたさというものをずっと抱えて生きてきて、それは明らかにできるものでもないし、許されるものでもないし、これから先もそれはずっと抱え続けていくしかないのですが、その苦しさに弱音を吐きたくなる時もある。
そんな自分をそっと受け止めてくれる。
初めてこの言葉に涙した時は、そんな思いでした。
この曲を聴くことで、私の人生が大きく変わるかといえばそういうわけではなく。何も変わらないです、ただ「救われた」、それだけ。
未来のために聴く歌もあれば、過去のために聴く歌もあるんですね。
1990年代から2000年代にかけて、中島みゆきさんの曲はドラマを始めとして多くのTV番組の主題歌として使われていました。
NHK『プロジェクトX』の『地上の星』や、日本テレビ系『家なき子』の『空と君とのあいだに』は特に有名かと思います。私もその頃の楽曲が好きで、実はつい最近その頃のシングル曲を集めたアルバムを購入しました。
収められている楽曲は以下の通り。
1.地上の星
2.ヘッドライト・テールライト
3.瞬きもせず
4.私たちは春の中で
5.命の別名
6.糸
7.愛情物語
8.幸せ
9.たかが愛
10.目を開けて最初に君を見たい
11.旅人のうた
12.SE・TSU・NA・KU・TE
13.空と君のあいだに
14.ファイト!
個人的には『私たちは春の中で』『糸』『たかが愛』『旅人のうた』『空と君のあいだに』が特に好きです。
男女の恋愛といった人生の一部分を切り取って描いたものから、「人生」という壮大な物語を描いたような曲までいろいろありますが、どれを聴いても強く感じるのは、彼女の眼差しの優しさです。
どうしてこんなに優しい言葉を紡げるのだろうと、いつも思います。
楽曲だけでなく歌う時の表現も素晴らしいから、なんでこんなに優しく歌ってくれるのかなあって。
この人、どんな人生を歩んできたんだろう、とさえ思います。
「どんな」人生を、ではなく、「どのように」人生を歩んできたのか。そちらのほうが大切なんでしょうけど。。
何故にたかが愛に迷いそしてたかが愛に立ち止まらされても
捨ててしまえないものがまだあるの
僕はたかが愛に迷いそしてたかが愛に立ち止まらされても
捨ててしまえない たかが愛
私の記憶が正しければ、サビであるこの部分が心に触れたことって、ないんですよね。
愛を知らないのか、愛が見えないのか。
いつか、この言葉を聴いて、「ああ、そうだよね」と思える日が来ればいいのですが。。