『女神は二度微笑む』『Mommy マミー』『真夜中のゆりかご』『リピーテッド』

5月に鑑賞した映画の感想。

5月は表題の4作に加えて、すでに感想を書いている『セッション』も含めて5本鑑賞。ハリウッド映画だけでなく、インド、カナダ、デンマークとバラエティに富んだラインナップとなりました。

以下、ネタバレ少しあり。

※  ※  ※

まずは3年前のアジアフォーカス以来となる2度目の鑑賞『女神は二度微笑む』から。
アジアフォーカスで上映された当時の感想をそのまま引用すると…

コルカタを舞台にした良質のサスペンス。
コルカタの地下で起きた毒ガスによる無差別テロ事件から2年。1カ月前に着任以来、行方不明となった夫を捜しにコルカタへやって来た身重の妻は、地元警察と共に捜索を始める。手がかりがない中、夫に似た男が浮上するが・・・。
テンポのよいサスペンスで、最後まで楽しめました。インドではデリー、ムンバイに次ぐ3番目の人口を誇るコルカタの街をスタイリッシュな映像で見せ、街の魅力が伝わってきます。
そして、祭の最終日とともに迎える「カハーニー(物語)」のクライマックス。驚きのラストに最後まで興奮しっぱなしでした。
まあ、しかし一番の見所はヒロインでしょう。とにかく美しいっ!!(このお方) 彼女だけでも見る価値あります!(断言)
これは一般上映してほしいなあ。多くの人に見てほしい作品です。

本当に面白い作品ですので、3年経ったとはいえ、こうして公開されたことがとても嬉しいです。
初めて見た時は展開が読めないので、最後の最後までハラハラドキドキでしたが、結末を知っている今回は落ち着いてみることができました(笑)。
コルカタの光も影も見つめる映像、そして魅力的なキャストは、どんでん返しのストーリー以上に惹かれるものがあります。おすすめの作品です。

女神は二度微笑む_ポスター
『女神は二度微笑む』
原題:Kahaani
2012年/インド/123分
監督:スジョイ・ゴーシュ
キャスト:ヴィディヤ・バラン、パランブラタ・チャテルジー、ナワーズッディーン・シッディーキー(声の出演)、アミターブ・バッチャン 他
(5月6日、KBCシネマにて観賞)

続いて、『Mommy マミー』
ストーリーは映画.comより。

15歳の息子スティーヴを育てる、気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、普段は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまう。そんな息子との生活に右往左往していたダイアンだが、隣家に住む引きこもりがちな女性教師カイラと親しくなったことから、少しずつ日々に変化が訪れる。精神的ストレスから吃音に苦しみ休職中だったカイラも、スティーブの家庭教師を買って出ることで快方に向かっていくが……。

誰にも肩入れすることなく、かと言って冷徹でもなく、絶妙な距離感で、「普通ではない」3人の苦しみを1:1の小さなフレームに描き出していきます。幸せはほんの一瞬で、一日の9割が苦悩である、その残酷な日々の繰り返しに胸が痛くなりました。終始、見ているのが辛い映画ですね。

監督のグザヴィエ・ドランはなんと26歳。
音楽の使い方に若さを感じるところもあったけど(オアシスのくだりなど特に)、気になったのはそれくらいかなあ。まあ、そのベタさが良いのか。
若さ=未熟さではなく、奇をてらっているわけでも背伸びしているわけでもなく。画面サイズまで利用した映像表現、脚本や演出にはただただ感嘆するばかり。
母親の下半身を足元から映していく最初のシーンは本当に印象的で、頭からガツンとやられた感じでした。ダイアンとカイラが心を通い合わせていく会話のバックで豪雨を降らせる演出も、良かったですね。セリーヌ・ディオンの曲に乗って3人で踊るシーンなんて、涙なしには見られません(ところどころカナダのアイデンティティが垣間見える作品でもありました)。

肝心なところを音楽と役者の表情で語らせるのは、巧いようで、ちょっと憎くもありますけど。(3人の演技がまた素晴らしいんですよねえ。。)
特に2人の母の別れのシーンは、自分の力量を試されているようでした。あの2人の表情が意味するものは…別れる寂しさ?悲しさ? それとも憎しみ?嘲笑?
今でもはっきりとした答えは出ません。見るのは辛いけど、いろいろ再確認したいところもあるので、再見したい作品です。

Mommy_ポスター
『Mommy マミー』
原題:Mommy
2014年/カナダ/134分
監督・脚本:グザヴィエ・ドラン
撮影:アンドレ・ターピン
オリジナルスコア:ノイア
キャスト:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン 他
(5月24日、KBCシネマにて鑑賞)

3作目は、デンマーク映画『真夜中のゆりかご』
概要は映画.comより。

「未来を生きる君たちへ」でアカデミー外国語映画賞に輝いた、デンマークの女性監督スサンネ・ビアと脚本家アナス・トーマス・イェンセンのコンビによる、育児放棄、ドラッグ中毒、家庭内暴力といった現代社会が抱えるさまざまな問題を盛り込んだサスペンスドラマ。
美しい妻と乳児の息子とともに、幸せな生活を送っていた敏腕刑事のアンドレアス。ある日、通報を受けて駆けつけた一室で、薬物依存の男女による衝撃的な育児放棄の現場に遭遇する。夫婦交代で真夜中に夜泣きする息子を寝付かせる愛に満ちた日々を過ごすアンドレアスだったが、ある朝、思いもよらない悲劇が彼を襲う。それをきっかけに、アンドレアスの中で善と悪の境界線が激しく揺れ動いていく。

主人公アンドレアスの夫婦と、薬物依存カップル、乳児を抱える2組の夫婦を通して、愛とは、倫理とは何かを問いかけます。
ありえない展開に目を疑いますが、そこにあるのは追いつめられた人間の脆さと恐ろしさ。アンドレアスの人生を「他人事」として片づけることなどできません。誰の道にも悪は転がっている。生きていくことの怖さを思いました。

厚い雲に覆われた北欧の冬。終始暗いトーンで見ているだけで鬱になりそうなんですが、主人公たちを突き刺すような冷たさはありません。
罪を憎んで人を憎まず、でしょうか。悲劇の先に希望を見出すラストからは、優しさと強い意志を感じました。

思わぬ真実が明るみになっていく展開にはハラハラドキドキ。サスペンスとしても十分見応えのある作品です。

真夜中のゆりかご_ポスター
『真夜中のゆりかご』
原題:En chance til
英題:A Second Chance
2014年/デンマーク/102分
監督:スサンネ・ビア
脚本:アナス・トマス・イェンセン
キャスト:ニコライ・コスター=ワルドー、ウルリッヒ・トムセン、マリア・ボネヴィー、ニコライ・リー・コス 他

最後は、ニコール・キッドマン主演『リピーテッド』
ストーリーはシネマトゥデイより。

目覚めると前日までの記憶が全てリセットされてしまう特殊な障害があるものの、献身的な夫(コリン・ファース)に支えられ日々を送っているクリスティーン(ニコール・キッドマン)。ある日、医師だという人物から電話がかかってくる。それを受けたクリスティーンは、夫に黙って彼のもとで診察を受けていると聞かされ、数週間前から自分が毎日の出来事を映像で記録していることも教えられる。その映像を捜し出して再生する彼女だったが、そこには信じられない光景が収められていた。

なかなか面白そうなストーリーなんですけどねえ、でもねえ、平凡なんですよねえ。何でだろ。正直DVDで十分なレベル。
ニコール、コリン・ファースの主演2人の熱演と、医者役のマーク・ストロングのかっこよさには惚れ惚れしますが、それだけが見所。1時間半、3人を堪能しましょう。
それにしてもニコールは、いつからこんなにか弱い女性役が似合うようになったんでしょうか。若い頃は勝ち気な役が多かった気がするんですが。
男に怯えて泣くニコールの姿には、自分の中のSっ気が生まれてくるのを感じましたよ^^; 参りました。
ニコール目当てで見に行ったので、目的は十分果たされましたけど。。

リピーテッド_ポスター
『リピーテッド』
原題:Before I Go to Sleep
2014年/イギリス・アメリカ・フランス・スウェーデン合作/92分
監督・脚本:ローワン・ジョフィ
製作:リドリー・スコット
原作:SJ・ワトソン
キャスト:ニコール・キッドマン、コリン・ファース、マーク・ストロング 他
(5月27日、Tジョイ博多にて鑑賞)

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